ITともPCとも関係のないホームシアターネタですが
複数の方から同じような質問をいただいたので、分野違いですが、簡単に記事をアップしておきます。分野違いというのは、とてもマニアックなAVシアターの世界だからです。
我が家のシアターは、来年の初め頃にはやっと機材を含めて完成(トータル2年ぐらい、足かけ3年のプロジェクトでした)しますが、そこでのスクリーン選びについての質問です。このブログを定期的にチェックしてくれている方のほとんどには無関係ですね。ごめんなさい。
月刊HiViというAV誌がありますが、ここでVPL-VW100という機種を個人的に導入しようとしていて、同時にマリブというスクリーンを組み合わせると紹介しました。そのフォローです。以下はホームシアターを知らない人にはちんぷんかんぷんでしょう。わからない人は、あまり深く捉えないでください。詳しく書き始めるときりがないので……。
マリブというスクリーンは、ゲインが高くて明るいだけでなく、理想的な位置関係で設置すると、とてもコントラストが高く見えるスクリーンです。拡散性の強いマット系スクリーンの中では反射特性が強めで、天吊設置との相性が良く、壁からの2次反射によるコントラスト低下にも強めですね。また、滑らかな質感も素晴らしく解像度も高い。より高価なスチュワート製のHD130と似た特性ですが、個人的にはマリブの方が好きです。
ただし、やや反射が強いと言っても、基本的にはマット系のため、壁などからの2次的な反射光の影響は避けられません。当然、画質を求めればスクリーンの周りや天井、壁などはダーク系、できれば真っ黒の起毛素材で覆うのが望ましい。マニアなら、当然そういう方向に行くべきでしょう。そうした部屋を作るつもりなら、マリブやHD130は最高のスクリーンです。予算さえ合えば満足できます。
でも僕はホームシアターの理想型が1つだとは考えていません。住むところ、家族構成、考え方が異なれば、全く別のホームシアターがあっていい。ということで、我が家のホームシアターは「家族で楽しめる共有スペースを高画質のホームシアターにしよう」というお題目に沿って作りました。つまり、絶対に暗い部屋は作らないと最初から決めていたのです。マリブを選んだのも、反射性を利用した配置を心がければ、2次反射光からの影響もある程度は緩和できるからです。
しかし実は、これとは別に以前から気になっていたスクリーンがありました。それがスチュワートのFireHawkというスクリーンです。反射特性がやや強めで明るさのムラや視野角に問題が出そうなスクリーンで、しかも生地は50%のグレー。グレースクリーンがキライという事もあって、気にはなるけど敬遠気味。
けれども最終的に発注したのはFireHawk G2というFireHawkの第2世代製品で、マリブではありませんでした。その”理由はなぁに?”という質問を、別のブログや読者用メールアドレスに複数いただいたのです。
と、やっと本題にたどり着きました(汗)
結論から言えば、第1世代のFireHawkを実際にVW100で視聴してみて、僕の理想に近いスクリーンだと感じたためです。FireHawkの能力を発揮するには、プロジェクタとスクリーン、それに視聴位置の関係を最適にしておく必要があり、また投射距離も長ければ長いほど良いなど、限られた条件で実力を発揮できるスクリーンです。しかし、努力に見合う結果は得られるもので、光を乱反射するもの(具体的にはマリブをFireHawkの横に立ててみました)を置いても、コントラストや色純度はほとんど低下しません。加えてゲインが高めのため、グレースクリーン独特の発色の悪さもさほど感じない。
詳しくは今月17日発売のHiViでレポートしていますので、そちらを見て欲しいのですが、天吊設置でやや縦長の部屋ならば、FireHawkは大変に良い結果をもたらすでしょう。ただし、明暗の見通しが変化するのでガンマの調整は自分で良いポイントを探す方がよさそうです。FireHawkは北米では大人気のスクリーンですが、なぜか日本では認知が少なく、継続して雑誌の方でも、その適性について見直していこうと考えています。
FireHawkだけでなく、ホワイトマット系以外で優れたスクリーンは少なくありません。フロントプロジェクタはリアプロジェクションテレビなどと違い、投射する部屋の環境によって大きく画質や見え味が変わるので、プロジェクタ選びへの配慮と同じぐらいに、スクリーン選びも柔軟性を持って取り組んだほうが良いのでは?
もっとも、スクリーンごとの違いを同じ環境で見比べる機会というのは、そうした仕事でもなければ、なかなかないものです。そのうち雑誌だけでなく、ITmediaの方でも各種スクリーンの特徴や環境ごとにどう使い分けるのが良いかをレポートしたいですね。