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新年のごあいさつと問題提起 「決めごとから解放されよう」

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明けましておめでとうございます。
昨年は格別のお引き立てに預かり、厚く御礼申し上げます。

ごあいさつとして、勝手ながら昨年の仕事を振り返っての問題提起をさせていただきます。


決めごとが溢れていないか

お客様と仕事をしていて最近は、組織が思い通りに動かなくなってきている状況を感じます。現象面を言えば「元気が無い」とか「手を上げる人がいない」といった状況です。これを新しい世代のせいにする人がいますが、しかし冷めた人が増えたからということでは決してありません。思い通りに動けない事情が増えているからだと思います。

決めたのに動かないというのは、決めごとが溢れてしまっているからではないでしょうか。

例えば「これからは新しい市場に力を入れていきますよ」などと、戦略上にかかわる何か重要なことを決めても、組織が前に決めたこととぶつかってしまいます。セキュリティやコンプライアンス(法令遵守)、業務システム、あるいは様々な報告や会議で決めたことが決めごとの正体だったりします。

実はちゃんと理解すれば本当にぶつかることはないのですが、実際の反応を知らないために、過剰に身構えてしまうのでしょうか。でもそうした組織の都合で決めたものが、逆に組織の身動きをとれなくしている面は否めません。



報酬が無くても人は創造する

ところがネットの世界では違う風景が見られます。SNSやブログの発言をみると、プロの書き手ではない一般の人たちも伝えたい何かを持っていることに気づかされます。ほとんどの人は報酬を求めて発言しているわけではありません。

ネット上では名も無き人がどこからともなく他人の問題を発見して質問に答えたり、作業を請け負ったりしています。ほとんどは無報酬か低報酬で行われています。

こうした人たちの動機の本質は好奇心や創造心ではないでしょうか。「何かがもらえるから、与えられるから協力してあげる」というものではなく、自らそれを経験してみたい、作ってみたいといった心の動きだと思います。

ネットの世界に限らないと思いますが、こうして、日常からの逃げ場所のように思われていた場が、いつの間にか効率性の高い創造力をも育んでいたことに驚かざるをえません。



組織の創造力が空洞化していないか

翻って思うことは、創造力という点で組織が空洞化してきていないかという懸念です。決めたことを実行できなければ、空費する時間が増えるだけです。

では実行できればそれで十分かというとそうでもありません。好奇心や創造心を持つことなく単に決めたことに従えば、仕事は単なる処理に終わります。いい仕事ができる組織は、決めごとばかりに縛られず創造心や好奇心を燃やして仕事ができるものだと思います。

空洞化しているのではないかという懸念は、私自身が運営する勉強会を通して感じてきたことでした。

オープンな勉強会なので、会社から派遣されて来る人は一人もおらず、自主的に参加する人だけです。その場でにわかにグループを組んでもらうので、参加者は始めは戸惑いますが、次第にとけ込んで活発にディスカッションをして帰って行きます。そして「会社ではできない話が、ここではできた」と喜んで言ってくれます。だからその方が所属する組織がどういう雰囲気なのかもだいたい想像がつくのです。



決めごとから解放されよう

物事は決めたから動くというものではないと思います。新しいことをやろうとしているのに、組織の決定事項だから従いましょうというのは、全くナンセンスです。

人は本来、決めたから動くのではなく、何かを感じたり考えたりするから動くものではないでしょうか。その逆もあって、動いてみてから感じたり考えたりすることもあります。実は、決めれば動くというのは管理者に都合のいい思い過ごしであって、一人一人の本来は予測不能な経験や能力開発に対して無関心な考え方なのかもしれません。

管理者は再びプレーヤーに戻ってみてはいかがでしょうか?

管理を全面否定するつもりはありませんが、決めずに創造心や好奇心にまかせてさまようことも大事ではないでしょうか。新事業なども、企画を慎重に通すよりも「とりあえず作ってみたけどどうだろうか」というぐらいの勝手さが大事だと感じています。

大きな会社であっても、決めごとから解放されることで、ベンチャー企業のように自然と市場と向き合えるようになるのではないでしょうか。そもそも経営が市場起点で考えることを力説するようになったのは、管理が強すぎることの裏返しとも思えます。

早く、市場と向き合うことの大切さを力説しなくてよい時代になることを願います。

勝手ながら以上の問題提起をご挨拶に併せてさせていただきました。




この意見への批判を甘受いたします。
どうか本年もよろしくお願い申し上げます。

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