ホワイトボードで図解しながら会議しましょう ~『図解de仕事術』を読んで
客先の会議においても社内会議においても、プレゼンの機会やホワイトボードを使う場面は増えているのでは無いだろうか。
プレゼンは決まったことお伝えするときに、ホワイトボードは協働で決めていくときに使うことが多い。
とくにホワイトボードは相手との距離をぐっと縮めるにはちょうどよく、最初のうちはプレゼンをしていた人間関係も、付き合いが深まる過程でホワイトボードを使う頻度が増えていく。
ホワイトボードの良いところは、イメージを合わせたり、新しいアイデアをその場で作れていくことだと思う。会議が単なるおしゃべりにはならず、確実に成果を作ってことができる。
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でも最初からホワイトボードを使える人は少ないと思う。「ホワイトボードが使えるレベル」として、ここでイメージしているのは書記役のレベルではない。書記は他者の言ったことを書き残していく役回りだ。
ホワイトボードが使えるというのは、ファシリテータをしながら自分や人の話を分かりやすくホワイトボード上に表現することができるというイメージだ。
ではホワイトボードに慣れた人はどんな表現の方法を持っているんだろうか?
図解改善士の多部田憲彦氏によれば、ホワイトボード上で繰り広げられる話の内容は、だいたい「○図」「△図」「+図」「→図」の4パターンの図解があれば表現できるそうだ。
以下にそれを簡単に紹介していきたい。
多部田氏が手描きを勧める(というかホワイトボードなら手描きが自然だと思う)ので、ここでは私も手描きしてみた。ただしここではホワイトボードではなくA4用紙に手描きしたものをイメージ処理して載せている。
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1.共通項を示したいなら「○図」
○の囲いを示すAやBは、いわゆるコンセプトとして、どんなものでもいいでしょう。
A社B社のように会社でもいいし事業でもいい。事業なら例えばその要素として「事業名」「顧客」「価値」「商品・サービス」あたりが来てもいい。
会議の議題として、何かを共通の決まり事として、他の何かを自由にして発想する場面は多い。
例えば「顧客」を固定しておき、新しい価値や新しい商品を考えればそれは新事業のコンセプトになるでしょう。この図の場合、A事業とB事業の共通要素を「顧客」として発想することになる。
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2.違いを示したいなら「+図」
「Aがユニークなのは....」「Aが他と差別化できている点は....」を言わんとした場面では+図。
AやBのコンセプト間の違いを示したいときには、各々が独自に持っている要素のところに目を向けることになる。
でもおそらくCという別の存在も思いついてしまうだろう。独自だということを示そうとすると、常識的に思いつく限りの比較対象をピックアップしておかないと示しがつかないからだ。
すると登場人物が増えてしまう。
こういうときは軸を使った整理がいい。+図というのは2軸を交差させた図という意味で、平面上に位置関係で違いを分かりやすく伝えようとするなら2軸がいちばん都合がよい。
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3.主従関係を示したいなら「△図」
おそらく見る人によって物事の関係は正反対にすらなったりするので、主従関係というのは意図をもって関係を決めないと成立しないだろう。
「生活するために仕事をするのか、仕事をするために生活するのか」といった問いもどっちが正しいという絶対的なものはない、というように。
なので、考えた人の意図が大事だ。△図には、物事の関係をどう伝えたいかというメッセージが見えてくるものだと思う。
ちなみに、上の図では、Aの要素の中にある包含関係を主従関係に置き換えて整理してみた。
物事の関係には上のような主従関係以外にも、優劣関係や因果関係といった関係もある。そうした様々な関係が、その人のセンスによって△の形をした図に表現できるという点で、△図は便利だと思う。
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4.制約をふまえて関係を示したいなら→図
全ての要素を実行しようとしてもリソースの問題や時間の問題がつかえてできないことがある。
なので主従関係や優劣関係を見極めること大事だというように、制約関係をおさえておくことも大事だ。
各々の要素がどんなリソースを使うかを考えていくと、一緒に実施したほうがいいものと並行して実施したほうがいいものが必ず浮かび上がってくる。
リソースはできるだけ節約したいし、使えば必ず他に影響が出る。だから影響を出さないようにするには使う時間をずらさないといけない。計画に行動計画が必要になるというのはそういうことだ。
同じ「○○関係」といっても制約関係は、「できないこと」に焦点を当てる。前の△図が大事なことに焦点を当てるとすれば、この→図ではできないことを踏まえて計画にする。
→図を描くことで、計画の合理性が高まる。いくら大事だからといっても、できないことはできないからだ。
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以上の「○図」「△図」「+図」「→図」の4パターンの図解の実践は、多部田氏の著書が参考になります。
多部田氏は以前に一度お会いしたことがありますが、お話の仕方にとても実直な感じのする方でした。ホワイトボードを使った図解がまさにぴったりという印象でした。
極論ですが、プレゼンは多少のはったりが必要になりますが、同じ目線の高さで議論するホワイトボードの会議でははったりが通用しません。
「自分は口べただけど物事をきちんと整理して話すほうだ」と思う方は、ぜひ実践されてみてはいかがでしょうか。
誰でもデキる人に見える 図解de仕事術
図解改善士・多部田憲彦(著)
明日香出版社刊行
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追記
会議室に入ったとき、どの席に座るかですが、背中の後ろにホワイトボードがあったりすると場所的に有利だったりします。
ぜひ次の会議からでも実践されてみてはいかがでしょう。
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