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専門書にビビらない自分を手に入れる エンジニアのための専門書を読みこなすコツ(1)

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プロセスデザインエージェント芝本秀徳です。

1年ほど前に公式ブログに書いた「30歳までに勉強するということ&新社会人に薦める5冊」という記事へのアクセスが、ここのところ急に増えています。どうやら「社会人 勉強」と検索して、来てくれる人が多いみたいです。

学生から社会人への移り変わりは、人生のなかでも最大のものだろうと思います。学生の世界と、社会人の世界とでは、まったく論理が違いますからね。

学生時代は「平等」とは「公平」という言葉が幅を利かせていますが、社会人の世界にはそんな言葉は存在しないに等しいのです。実力がある人間が生き残るとは限りませんし、人間関係の上手い奴が可愛がられるのです。

そんな不平等な社会にあっても「学ぶ」という権利だけは平等にみな持っています。しかし、社会に出るとみなびっくりするほど学ばないものなのです。だから、学ぼうという意思のある人は、それだけですでに有利だということになります。

今日はそんな「学ぼう」という意思を持たれている方の助けになるであろう、とくに技術者、エンジニアはお世話になるだろう「専門書」の読みこなし方を、2回にわたって紹介しようと思います。

1回目は「専門書に対する基本姿勢」についてお話します。

おごってもらった分はぜんぶ本を買う

専門書は概して高いです。5千円や6千円はザラ、1万円を超えるものも多くあります。もっと高いものは数万円します。新社会人の方にとっては、「高いなぁ」と思うのも無理はありません。

しかし、ちょっと考えてみてください。1年間に10万円の投資をしたとしても、その本を読むことで自分の価値が上がり年収が100万円上がれば、これほど利回りのいい投資はありません。しかも、1回飲みにいけば飛んでいく程度の投資で専門書なら1冊、ビジネス書であれば数冊買うことができます。

本は読みたいときに「そこにある」ということがだいじなんですね。知りたいこと、調べたいことがあったとき、すぐに手元の文献に当たることができるかどうかは、大きな違いになります。明日までに調査しないといけないというときに「図書館で調べよう」では間に合いません。その小さな差の積み重ねが、何年も蓄積されれば大きな差になります。

新社会人のころは、飲みにいっても、おごってもらえることが多いでしょう。私は新人のころ、「おごってもらった分はぜんぶ本を買う」というルールを自分に課していました。おかげでずいぶんと本を読むことができました。

鈍器のような本を買う

専門書は分厚いものが多い。もはや鈍器じゃないかと思うぐらい分厚いものです。そこでいわゆる「サルでもわかる」系の入門書でお茶を濁してしまいがちですが、入門書には奥行きがありません。あくまでの専門書の<ハードルを下げる>ために読むものです。すぐれた専門書は奥行きがあるだけでなく、読んでみると面白いものが多いのです。『コードコンプリート』なんかは日本語版だと上下巻で1200ページを超えていますが、驚くほど面白く読めます。

私は新人のころに旧版の『コードコンプリート』を上司に薦められたのですが、「そんな分厚い本を読んでいるヒマなどない」と入門書ばっかり読んでいて、3年後に読み始めて「もっと早く読んでおけばよかった」と後悔しました。分厚さにビビって、良書との出会いを遅らせるのは人生のロスです。

入門書で「地図」を手に入れる

前の項目と矛盾するじゃないかと思われるかもしれませんが、いきなり専門書を読んでもわからないということも、ままあります。そんなときは、入門書を探しましょう。どんな分野でも、探せばよい入門書はたいてい見つかるはずです。入門書の役割は<ハードルを下げる>ことだといいましたが、それは<全体像をつかむ>ということでもあります。つまり、<知識の地図を手に入れる>ことです。一度、地図が頭に入ってしまえば、専門書のハードルはかなり下がります。

注意しないといけないのは「入門書で満足しない」ということです。入門書を読んで分かった気になっても、それだけでは仕事では通用しません。よい入門書を、専門書へのブリッジとして活用してください。


エンジニアは、技術書、専門書をいかに読みこなして、自分のものにしていくかが、今後の実力の伸びを左右します。しかし、学生時代に本を読みなれていない人が、いきなり専門書を読みこなすのはむずかしいものです。まずは「専門書にビビらない自分」を手に入れることがたいせつです。



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