「始められない」はグズの証拠か?
プロセスデザインエージェントの芝本秀徳です。
きょうは「始められない」についてです。
■「始められない」はグズの証拠か?
期限も決まっていて、やらないといけないということはわかっている。なのに手をつけられない。時間だけがただ過ぎていく。。。そんな経験は誰しもあるはずです。
「なかなか始められない」という悩みを持たれている方は多くいらっしゃいます。「自分はグズだ」というコンプレックスを持たれている方も少なくありません。
しかし、これは何も本人の性格や性質に問題があるわけではありません。
「方法を知っているかどうか」だけの違いです。
■「始める」のがいちばんハードルが高い
スイスの哲学者カール・ヒルティは『幸福論』のなかで、「まず何よりも肝心なのは、思い切っ てやり始めることである」と言っています。たしかにこれは真実です。始めることさえできれば、ヤル気もでてきます。しかし、これがいちばんハードルが高いのです。
「やり始める」には、何から手をつければいいのかが見えていなくてはなりません。やったことのある仕事ならいいでしょう。しかし、やったことのない仕事、新しいプロジェクトに取り組むときは、そもそも「何から手をつければいいのか」が見えないから立ち止まってしまうのです。
職人の世界ではよく「段取り八分」と言われます。仕事を進める上で、準備をしておくこと、段取りをしておけば、仕事の八割は終わったようなものだということです。しかし、この段取りをしようにも、やったことがないことをどう段取ればいいのでしょうか。
■ どんな仕事も「プロセスの設計」から始める
現代の仕事の多くはプロジェクトとして進められます。プロジェクトとは平たくいえば「やったことがないこと」を「期限までに」終わらせることです。つまり、ほとんどの仕事は「何から手をつければいいのかわからない」状態から始まると言えます。
段取りとは「やったことがあることを、より上手くやる」ために準備することです。つまり「既知の洗練」が目的となります。必ず何らかの新規性のあるプロジェクトには、段取りだけだと通用しないのです。
一方で「プロセスの設計」の目的は、やったことがないこと、つまり「未知」にいかに対処するかということです。プロセスの設計とは「企業やプロジェクトの活動を入力と出力の関係でとらえ、最適化すること」です。
プロセスはカーナビと同じ働きをします。つまり、プロセス設計とは、仕事の目的地までのルートを探索することなのです。
■ プロセスは背中を押してくれる
先日、プロセス設計の実践ワークショップを開催しました。このワークショップでは「次の日からプロセスが設計できる!」を目標に、少人数で、対話とフィードバックを重視しながら、前半は講義、後半は実際に手を動かしてプロセス設計を実践していただきました。
演習では、思考回路の転換が求められるので、みなさん最初はウンウン唸りながら考えています。考えている間にもさまざまな気づきがあり「あ、そうか!」といった声も聞こえてきます。演習が終わったあとの、達成感のある表情が印象的でした。
なかでも印象的だったのは、受講者の方が「論文を書くのに、何から手をつければいいのかわからなかったけど、これならできる、ここから始められる」とおっしゃっていたことです。
何気ないことなのですが、実はこの「ここから始められる」というものを持っていることはとても大きいです。どんなことでも「プロセスを設計すれば先に進むことができる」という安心感は何事にも代えがたいものがあります。
プロセスは背中を押してくれます。
行動力に自信がないのは、性格に問題があるわけではありません。
方法を知ればいいだけです。
<お知らせ>
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