オルタナティブ・ブログ > 芝本秀徳の『プロジェクトマネジメントの守破離』 >

プロセス、戦略、人間学の視点からプロジェクトを眺めます。

「医療カンファレンス」型の学びと問題解決

»

こんにちは、プロセスデザインエージェントの芝本秀徳です。

知識を「実践知」にするには、どうすればいいのかという話と、
最後にこのテーマに関係する告知があります。

■ 座学だけでは限界がある
プロジェクトマネジメントに限らず、あらゆる知識、技術は座学で学んだだけでは、現場で使えるレベルまで、身につけることはむずかしいものがあります。それは、

・現実の問題と、それにふさわしい知識、技術が紐づかない。
・その知識を使ってはいけないケースとタイミングがわからない。
・知識を適用するときに留意すべきことがわからない。

など、目の前の現実に知識を適用するむずかしさがあるからです。そのため、知識はあるけれど、実際のプロジェクトでは使えないという事態が起こってしまいます。プロジェクトマネジメントに関する知識が普及し、PMPなどの有資格者が増えたにも関わらず、プロジェクトの成功率が高まらないのは、ここに一因があります。

■ カンファレンス型進捗会議
知識と実践をつなぎ、現場で知識を活用できるプロジェクトマネジャーを育成するために、私が現場でとってきた方法が、医療の世界の「カンファレンス」をヒントにした、「カンファレンス型」進捗会議でした。

医療の世界では、よりよい治療を実現するために、あらゆる経験や、専門を持った医師があつまり、患者の治療方針を議論する「カンファレンス」という仕組みがあります。この仕組みは、単に患者の治療について相談しあうだけではなく、経験豊富な医師から、若い医師へ「経験知」を伝える重要な「場」となっています。

プロジェクトの現場でも、問題解決の「場」、経験知を伝える「場」として、この「カンファレンス」の仕組みはとても有効です。

実際に、プロジェクトで起こっている問題、課題をシェアし、それをどのようなアプローチで解決できるかを議論しながら、知識をどのように実践に結び付けていくのかという経験知を伝えていくのです。

プロジェクトマネジャーは、ただ解決策を提示するだけではなく、メンバーに考えさせ、議論を導きながら「気づき」を促していく必要があります。このへんはプロジェクトマネジャーのファシリテーションスキルの見せ所です。

本を読んで知識だけを得るのでも、架空のケーススタディを学ぶのでもなく、実際に目の前にある、自分たちが解決しなければならない課題について話し合うのですから、学びは非常に濃く、深いものになります。

■ 座学セミナーの課題
どれだけ多くの知識を得ても、それが「実践」できなければ、何の役にも立ちません。座学で得た知識を「実践知」にする仕組みが大切なのです。

セミナーや講演会などでも、知識や技術を伝えて、そのあと、どのようにそれを活用していけばよいのかという「実践知」にまで高めることが、課題になります。知識と実践をつなぐ「場」を提供できないかということを、ずっと考えていました。

そして、企画したのが「エッセンスセミナーとラウンドテーブル」です。プロセスデザインの考え方、方法論をテーマに沿って、「エッセンスセミナー」という形で学んでいただき、そのあと「ラウンドテーブル(円卓会議)」形式のセッションで、講師と参加者が同じテーブルについて、お互いの課題をシェア、解決アプローチを探るというカンファレンス型のセミナーです。

■ 「場」を共有しなければ伝えられないものがある
多くのビジネスの現場が、いま「プロジェクト」型で進められるようになりました。不確実性の高い時代、ルーティンの仕事では成り立たなくなってきたからです。プロジェクト思考を持つビジネスパーソンの必要性が増しています。

しかし、一度に多くの方に「実践知」を身につけていただくことはできません。直接やりとりをし、「場」を共有することでしか伝わらないものがあるからです。そのため、今回の企画も「少人数制」となっています。

私の大きなミッションの一つに、「この世からデスマーチをなくす」ことがあります。この企画も、この大きなミッションを達成するための活動の一つです。少ないながらも「実践知」を持ったプロジェクトマネジャーを世に出したい。そういう思いです。



Comment(0)

コメント

コメントを投稿する