オルタナティブ・ブログ > 芝本秀徳の『プロジェクトマネジメントの守破離』 >

プロセス、戦略、人間学の視点からプロジェクトを眺めます。

乗らない、降りる、という選択肢

»

こんにちは、プロセスデザインエージェントの芝本です。

きょうは、プロジェクトマネジャーになる、ならないという選択についてです。

■覚悟がいるプロマネという仕事

プロジェクトマネジャーという仕事は、相当なプレッシャーにさらされます。顧客と会社、上司と部下(メンバー)のあいだに挟まれ、どちらからも「あっち側」されるのが、プロジェクトマネジャーという仕事だからです。

さらに、プロジェクトマネジャーという仕事には専門性が必要とされます。自分がプレイヤーとして動くことと、人やチームをマネジメントしてゴールまで導くのとでは、八百屋と魚屋ぐらい違いがあります。経験”だけ”では通用しません。専門的な知識、プロジェクトマネジメントの原理原則を知っている必要があるのです。


■プロマネのアサインの現実

しかし、組織ではこのような事情を考えずに、プロジェクトマネジャーをアサインすることが多いのが現実です。

 ・それなりに経験年数を積んだから
 ・ほかに人がいないから
 ・役職がついたから
 ・やらせてみないとわからない

などなど、プロジェクトマネジャーの素養があるかどうかとは、まったく次元の違うところでアサインが決まります。

■安易なアサインは本人とチームを不幸にする

しかし、プロジェクトマネジャーとして機能するかどうかを慎重に検討しないまま、アサインしてしまうと、アサインされた本人と、プロジェクトのメンバーを不幸にしてしまう結果になりかねません。航海術を知らない人を船長にすえて、海にでるようなものです。難破する可能性大です。

さらに、一度プロジェクトマネジャーとしてアサインされ、プロジェクトが始まってしまうと、よほどのことがない限り、マネジャーの交代はありません。交代すれば、その人の存在を否定することになるからです。本人も自分が機能していないとわかりつつも、「抜ける」とは言えなくなるのです。

そうこうしているうちに、プロジェクトの状況はどんどん悪化していきます。チームの雰囲気はどんどん悪くなり、スケジュールの遅延、品質の低下から、お客様からのクレームを受けることになります。

やがて、プロジェクトマネジャーは孤立します。

そうやって、仕事に出てこれなくなったプロジェクトマネジャーを、私は何人も知っています。一度、逃げてしまえば、二度とプロマネとしては、仕事をすることはできなくなります。多くの場合、その組織でのキャリアは望めません。

■乗らない、降りる、という選択肢

こういった事態を避けるためにも、プロジェクトマネジャーとしての知識、スキル、考え方を、プレイヤーであるうちから身に着けておくことが大切です。そして、何よりも、

 ・準備できていなければ、乗らない
 ・ダメだと思ったら、早めに降りる

ことも、選択肢として考えることが大切です。

それが自分とチームを守る道でもあります。

Comment(0)