計画を守ってはいけない
こんにちは。
プロセスデザインエージェントの芝本秀徳です。
「メンテ」です。
一度計画を立てると、それを守るべきだというのが一般的かも知れませんが、計画を守ろうとするのは、プロジェクトを破綻させる可能性があります。では、計画をどう取り扱うのかという話です。
■ 計画には「わかっていること」しか盛り込めない
そもそも、計画は「守る」ためにあるのではありません。計画は何のためにあるのか。それは「基準」を定めるためであり、現在地を確認するためです。基準がなければ、自分がどこにいるのかわかりません。遅れているのか、進んでいるのかは、基準との「差分」で把握するしかないからです。
計画には、その時点で「わかっていること」しか盛り込めません。プロジェクトは「有期性」と「独自性」を持ちます。ということは、そこには必ず「わかっていなかったこと」が起こるのです。それを事前に盛り込むことはできないのです。つまり、「計画は崩れる」ことが前提なのです。
プロジェクトが進み、現実を目の前にしているのに、机上の計画を守ろうとするのは、台風が来ているのにフライトスケジュールを守ろうとするようなもので、大事故につながりかねないのです。
■ 計画は守らない、「メンテ」する
計画がそもそも「変わるもの」であり、守るものではないのであれば、どうすればいいのか。計画はつねに「メンテ」します。現実に即して、つねに修正していくものです。
計画を修正するときは、「今の状態から始めるとして、どのように進めるか」を、ゼロベースで考えます。いまの進捗状況、ゴール(納期)を考えて、どのようにプロセスをデザインすれば、ゴールにたどり着けるかを考えるのです。その上で、「とてもこのままではゴールにたどり着くことはできない」ということがわかれば、納期の調整、要件の調整など、手を打たなくてはなりません。
■ 「リカバリ」はできない
計画を守ろうとするマネジャーは「どうやってリカバリするか?」ということをよく言います。リカバリは後ろ向きの活動です。大切なのは「この先、どうなるのか」という見通しであって、過ぎたことを取り戻すことではないのです。
メンバーに「リカバリ」を求めると、メンバーも後ろ向きの活動に取り組むことになります。この後ろ向きの活動は疲れるのです。
プロジェクトは前に進めるものです。前を向いてこと、成果が望めます。