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プロセス、戦略、人間学の視点からプロジェクトを眺めます。

プロセスは問題の真因をあぶり出す

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モノづくりに関わる人は、日ごろから「どうすれば品質をよくできるか」「どうすればコストを下げられるか」を考えています。つねに「どうすれば(HOW)」を考えています。これは必要なことです。しかし、いつも「HOW」ばかりを考えていると、問題の全体像を見失ってしまいがちです。

たとえば、製品を市場にリリースしてから不具合が見つかってしまったとします。原因分析をすると、不具合を流出した原因の一つに「レビューをしていなかった」が挙げられました。このとき「HOW」思考では、「次からはレビューをしましょう」「レビューが行なわれたかをチェックしましょう」という解決策しか出てきません。しかし、これでは本質的な問題を解決することはできません。

「レビューをしていなかった」というのは、現象に過ぎません。たとえ、次のプロジェクトでレビューをするようにしたとしても、タンスの抽き出しを押せば、ほかの抽き出しが出てくるように、別の現象となって現れます。

現象には、それを生み出した原因があります。その原因を特定しなければ、問題の本質を解消することはできないのです。

問題の本質を分析する方法論の一つが、「なぜ?を5回繰り返す」というトヨタ方式です。問題の真因を見つけるために、「なぜ、それが起きたのか?」を5回繰り返します。実際にやってみるとわかりますが、かなりの頭脳労働です。うまくやらなければ、表層的な問題をなでるだけで、真の要因にたどりつくことはできません。それは、問題を掘り下げる方向性がわからないからです。

このときに役に立つのが「プロセス」という考え方です。プロジェクトのライフサイクルは「プロセス」でつながっています。プロセスで考えれば、起きた問題がどのようにつくり込まれ、どのように流出したのかがわかるようになるのです。

そのためには、プロジェクトのライフサイクルが「プロセス」として表現されていなければなりません。次回は、プロセスの表現技法について紹介します。

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