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プロセス、戦略、人間学の視点からプロジェクトを眺めます。

お客様の顔を見せていますか?

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部下を持つ上司や、プロジェクトマネジャーの方から、

 どうすればメンバーのモチベーションを上げることができるか

という相談をよくいただきます。

そのとき、私が訊ねるのは「メンバーをお客様のところに連れて行っていますか?」ということです。

プロジェクトは、お客様に価値を届けるための活動です。しかし、多くの場合、実際にそのお客様の顔が見える人は限られています。担当営業や、プロジェクトマネジャー、もしくはサポート担当など、一部の人だけが、お客様と顔をあわせ、直接、声を聞くことができるのです。

ということは、大部分のメンバーは、自分がつくっているものがどのように使われているのかを見ることもなく、自分の仕事の意味、「お客様に喜んでいただいている」という実感を得ることができないわけです。これでは、モチベーションが上がらないのも無理はありせん。

プロジェクトマネジャーの中には、お客様と直接会うことができる、声を聞くことができるということを、自分の立ち位置を誇示する、特権のように勘違いしている人もいます。また、メンバーがお客様に気に入られてしまうと、メンバーの入れ替えがしずらくなるという理由で、メンバーを外に出さないというケースもあります。しかし、これではメンバーから仕事の喜びを奪っているようなものです。

人は自分のしていることの意味を知ったとき、もっともモチベーションが上がります。人は人の役に立ちたいのです。

たとえば、仕様変更ひとつとってもそうです。プロジェクトマネジャーから言われれば、それは「やらなくてはならない」「やらされる」仕事になってしまいがちです。プロジェクトが厳しい状況にあればなおさらです。しかし、自分がお客さまと話し、お客様が困っていることを聞けば、みずから「やろう」という気持ちになるものなのです。実際、私がメンバーをお客先に連れて行ったとも、何でも対応しそうな勢いになってしまったので、あわてて止めたほどでした。

すべてのメンバーをお客様のところへ連れて行くことはできないでしょう。しかし、たった一人、二人でも、お客様のところへ連れて行けば、ほかのメンバーにも大きな影響を及ぼします。プロジェクトマネジャーが、思いを伝えることも大切ですが、同じ立場のメンバーが伝えることが大切なのです。

部下やメンバーのモチベーションを上げるのは、コミュニケーションテクニックや、なにかコツがあるわけではありません。「人の役に立ちたい」という自然な気持ちを、引き出してやればいいのです。それが働くの喜びにもつながるのです。

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