ケンブリッジ語録#9 フィードバックはリボンを付けて、心を込めて贈るもの
僕が勤めるコンサルティング会社、ケンブリッジには、厳しいプロジェクトの現場で生まれてきた「語録」がある。
多くのコンサルタントの琴線に触れ、成長を促すカンフル剤になってきた。現場感がみなぎるエネルギッシュな語録を書き留める。今回はこれ。
フィードバックはリボンを付けて、心を込めて贈るもの。
ケンブリッジには「フィードバック」という文化がある。
フィードバックとは、良かった点、悪かった点、改善点、感じたこと、をストレートに伝えること。気付きと成長のために「周囲から見てどう感じたか」を言語化して伝えるのだ。
こう書くと、「年一回の人事評価かな?」と思われるかもしれないが、違う。
「営業が四半期に一度やってる振り返りかな?」と思うかもしれないが、違う。
フィードバックは評価のためにするのではない。売上のために行動を改善することでもない。まして不満をぶつけることでもない。スタンスが根本的に違う。フィードバックは成長のために行うのだ。成長のためだから、頻度も全く異なる。1年に一回しか成長の機会が無いなんてナンセンスだ。
フィードバックは会議のたびに
僕らは一つの会議が終わる毎にフィードバックを贈りあう。プロジェクトをやっていると毎日会議があるから、毎日フィードバックすることになる。多いと1日3回会議があることもある。
会議を仕切っているファシリテーターに対しては
「議論が錯綜した時の捌き方が見事だった」
「Aさんが全然発言してなかったから、話をふるべきだった」
「会議時間を延長していいか、明示的に確認した方が良かった」
なんてフィードバックが寄せられる。ファシリテーターは、言われてみればそうだな・・・次は対応出来るようにしよう。と成長のキッカケを得ることができる。
ファシリテーター以外にも漏れ無くフィードバックが贈られる。
「議論が脱線しないように、気を付けていたのが良かった」
「わかりづらいところと逃さず質問してくれて良かった」
「何度か相手の発言を遮って主張していたけど、アレは良くない」
という感じだ。自分では気付けないことを、良い点も悪い点もひっくるめて周りが教えてくれる。毎日毎日こうやってフィードバックをもらっていて成長しないわけがない。
フィードバックに立場は関係ない
しつこく言うが、評価ではないので、フィードバックをするのに立場はまったく関係ない。
相手が社長だろうが、大先輩だろうが、初めて一緒に仕事するメンバーだろうが遠慮無くフィードバックする。
ケンブリッジでは、新入社員が社長にフィードバックしてる姿も日常茶飯事だ。一緒に時間を過ごしたら、相手の成長を願って、心を込めてフィードバックを贈る。それが礼儀。
フィードバックする時は「自分の事は棚に上げる」
「もっとこう改善した方がいい」、とか、「これがダメだった」、というフィードバックをする時はつい、「じゃあ自分はできているのだろうか?」と考えてしまいがちだが、自分ができてなくたって全く問題ない。
「全然ダメだったと思います。もっとこうするべきでしたね。まぁ、僕もできませんけど」なんてフィードバックはしょっちゅうだ。これでいい。
フィードバックをもらって「じゃあお前がやってみろ!出来もしないくせに」なんて言う奴が世間にはたまにいるけど最低だと思う。(営業と技術屋とか、購買と製造とか、役割が異なると途端にこういう話になる)
できてないことを批判しているんじゃない。もっと良くなって欲しいから言っているのだ。自分ができていないことはフィードバックしてはいけないなんてルールがあったら、成長の機会は激減してしまうだろう。
「僕からは、こう見えました」というだけでもいい。それで十分気付きが得られる。
受け手の姿勢が大事
私自身の肌感だが、高頻度でフィードバックをもらうようになって成長の速度が100倍くらいになった。いや、1人では一生掛かっても気付けなかったことも沢山あるのだから、100倍どころじゃないかも。でも、成長に活かせるかどうかは、受け手の姿勢にもよる。批判された!何でそんなこと言うんだ!なんて思っていたら成長には活かせない。
実はケンブリッジ以外の人にフィードバックすると例外なく驚かれる。不快感を露わにする人だっている。
親父にもぶたれたことないのに!状態だ。最近、耐性のない人にフィードバックする時は本当に慎重にやらないとダメなんだと気が付いた。だが、非常にもったいないと思う。
クソみたいな会議しかできないのに、死ぬほど分かりづらい説明しかできないのに、誰からも指摘してもらえないなんて、なんて悲しいことなんだろう。周りの人達はそれをみて腹の底で笑ってるわけだ。ゾッとする。思ったことは、正面切ってフィードバックしようや。
そうじゃなきゃ、まともな明日は来ない。
だからこそ、リボンを付けて、心を込めてフィードバックを贈るのだ。
心を込めた贈り物。あなたはしてますか?