ワークプレース変革の好機「未来志向のWindows XPサポート切れ対応」(1)
先日、沖縄にて、首記講演をしてきました。透明感溢れる沖縄の海を見ていると、その自然に比べ、なんとちっぽけなことをテーマにしているのだろう、と思わざるを得ませんでした。が、普段の仕事を振り返ると、やはり重要なテーマです。
講演では、サポート切れへの対応という、やらされている感いっぱいな話を、少しでも前向きに捉えられるような内容にしようと思いました。沖縄は実際に訪れると他の地方都市に比べ、若者が多く、交通量も多く、旅行者も多いし、市街地も活気に溢れているように感じます。沖縄が抱える課題の一つとして、雇用問題など知識はありますが、私はこの沖縄を毎年旅行するほど好きなので、私が感じる沖縄の活力にふさわしい前向きな言葉をタイトルに使ってみました(実際には、タイトルに縛られ資料作成に苦しみましたが...)。
その講演内容をもとにしたXPサポート切れ対応の話を今回から数回に分けて始めたいと思います。
2014年4月8日にサポート終了日を迎えるWindows XPですが、まだXP端末が残っている企業においても、サポート切れ対応を焦って進めているわけではないな、という印象を私は受けています。
まず、その印象が、日本全体の企業における実態とどれほど乖離しているのかを見て行きたいと思います。
2013/7/25号の日経コンピュータにおいて、脱Windows XP 残り1000万台の「最終解」 という特集が組まれ(私もSIerとして取材を受けました)、XP端末はタイトルの通り、残り1000万台とされています。そして、日本情報システム・ユーザー研究会(JUAS)が行った調査によると、企業において使われているPCのOSのうち、Windows XPの割合が80%を超える企業は、次の通りです(出典:日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)による「企業IT動向調査2012」、2011年11月に実施、国内1039社が回答)。
・2010年度 55.6%
・2011年度 53.6%
この推移を見ると、2012年度の割合も約半数と考えられ、日本における企業の半数近くはXP端末を今もふんだんに利用していると考えられます。やはり、新しいOSへの移行が急激に進んでいるとは言えない状況だと言えそうです。
なぜこれほどまでに、新しいOSへの移行が進んでいないのでしょうか。先ほどのJUASによる調査結果を見ると、「Windows 7の移行にあたっての課題、または導入しない理由」として、
・「業務アプリケーションの互換性に問題がある」
・「現状のOSで当面不都合がない」
という回答が回答比率の上位を占めていることがわかります。
この背景には、これまでのOSにはない、Windows XPの特殊な事情があると私は考えています。
2001年に発売されたWindows XPは、10年を超える長期間にわたり利用され続けてきました。実はWindows XPの「メインストリームサポート」期間は、本来の期間より2年延長されています(2009年4月)。これはWindows Vistaの出荷が遅れたことが起因となったとされており、延長サポート期間を含めると、12年半サポートされていることになります。
2001年は私にとって大学を卒業した年でしたが、この年は、就職活動(会社説明会への申し込みや企業との連絡など)をインターネットで行った学生が大量に入社した年でもありました(就職氷河期でしたが)。同時にインターネットを企業が本格的に活用し始めた頃だったように思います。
そんな時に、Windows XPは、Windows 95や98に比べ、頻繁にPCが固まってしまうという不安定さを解消したOSとして、発売後、企業にも家庭にも広く受け入れられました。
その分、Windows XPの環境に合わせてアプリケーションが開発され、OSとアプリの結合度が高くなっていきました。OSに依存しないアプリ(Webアプリケーションなど)の開発・採用方針を定める企業はまだ少なかったと思います。
このような背景もあり、半数の企業ではWindows XPを新しいOSに移行することに手間取っていると考えられます。
次回は、2014年4月9日を境に何が変わるのか、という観点で見て行きたいと思います。