英雄にしてもらう
男の子だったころ、ヒーロー(英雄)に憧れたり、正義の見方になりたがったりした。もうすっかり、そのときの記憶はなくなったが、僕は、憧れていた。ある日、自分が超能力が使えることに気付く・・・的な。10代の後半、子供のころに思っていたヒーローってのは、やっぱり、想像の世界のものだということを知った。ヒーローは、ある日突然のようになるものではなく、ある日、突然に必然的にヒーローにしてもらえるものなのだと。
バーテンダーの丁稚をやっていた頃に、親方に「今日は、お前が作ってみろ。俺の大事なお客さんだ。だけど、今日はお前が作ってみろ。」と言われ、下半身ガクガクしながらカクテルを作り、お客さんに飲んでいただいた。カクテルを飲んだお客さんは、僕に「ありがとう、おいしいね」と言う。当然、腕が良いのではなく、あくまでも、お世辞だったに違いないが、丁稚の僕は、親方とお客さんにヒーロー(とまではいかないが)に、してもらったのだ。
子供の頃に考えていたヒーローってのは、ある日突然なれるものだった。ある日、目覚めると、自分にとんでもない能力がついていたり、普段通りの生活をしていたら、変な事件に巻き込まれて、改造人間になったり・・・。大人のヒーローは、そうではない。周りから期待を込められて「ヒーローになれ」と言われ、普通の人なのに、ヒーローとして動き、その結果、ヒーローになれるのが、大人のヒーローだと感じる。ヒーローは、普通の人がヒーローとして扱われて、努力して、その後、ヒーローになる。そう思う。
僕は、周りにヒーローにしてもらうとともに、親方のように、誰かにヒーローになってもらう為のお手伝いをしなければ、と思う。
転載元:ヒーロー(英雄)
写真:notsogoodphotography