『ザ・ベロシティ』のサイコロのゲームをやってみた 2 〜制約前の予測不能なダブツキ在庫〜
昨日に引き続き、TOC理論ものの王道の『ザ・ゴール』シリーズの『ザ・ベロシティ』で紹介されている工程のラインバランスをイメージしたサイコロのゲームに触れていきたいと思います。
ちなみに、昨日のブログは、こちら
昨日は、各工程の生産指示を正七面体(実際にはありえませんが)のサイコロを振るかの如くその量を決めてみました。工程前に滞留する仕掛品の量が、生産指示より少ない場合には無論、仕掛品の在庫量しか生産は出来ず、次工程への払い出しもその量となります。
同著では、次に、各工程の生産指示の量をサイコロ2つ振ってその出目としています。しかし、1つの工程のみ制約として、サイコロ1つ振ることとしています。背景には、大多数の生産設備の能力を2倍にするということではなく、無理に生産能力を削ぎ落とすことのないような状態をやや大げさにイメージしたものと思います。
私のほうでは、工程をA〜Gまでの7つの工程としましたので、制約を設けた工程は真ん中となる4番目のD工程としました。大多数の工程では、サイコロ(ありえない正七面体)を2つ振りますので期待値は8となります。20日稼働ですので、制約がなければ、160は期待したいとざっくり感じるかもしれません。
生産量ですが、10回の試行で最小で64最大で91で平均は約78(87は誤植でした。すみません。)といったところでした。
在庫量は最小76最大121で平均は約106と、初期の在庫量の約3.8倍に膨らんでしまいました。
興味深い点ですが、20日経過後の各工程の在庫量です。制約とした工程Dの在庫量が多くなっていることが一目瞭然ですが、制約の前工程である工程A〜Cについては仕掛品のダブツキが見られ、そのダブツキが工程A〜C内において上流寄りに起こるのか下流寄りに起こるのかは一定しません。
要するに、制約となる工程の上流では、仕掛品のダブツキが生ずるもののその予測は困難となることが推察されるでしょう。
次回は、最後として、TOC理論のDBR(ドラム・バッファー・ロープ)のイメージに近い状態に触れていきたいと思います。