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ECがなす震災支援のブレークスルー 〜JA全農福島のネット販売の人気に見る支援の在り方〜

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 風評被害に泣く農業関係者のニュースを耳にするたびに辛く感じる。私の住んでいる県内も一部の農産物にて出荷制限などを受けた経緯から他県にて取扱を敬遠されているようだ。
 近くのスーパーに行くと、県内の農産物を取り扱い、消費者である我々も購入している。価格は決して、投げ売り価格ということではない。私見であるが、政府や見識のかる方が、「摂取に問題なし」と言っており、かつ、長期にわたり同農産物を摂取し続けることはなく、普段の生活でも自県産、他県産、海外産などの農産物を購入している点からも、むしろ、拒むことは通常の経済活動の阻害に加担しているようにも感じ、震災における二次、三次の人災の一要因にも思えることもある。

 そんな中、昨日、「福島県産の野菜がネット販売で大人気」とのニュースがあった。

 ・ 東日本大震災:おいしいゾ、福島 県産野菜、ネットで大人気(毎日新聞 2011年4月20日 東京朝刊)

 詳しくは記事を読むといいが、汚染に対しても自主検査をしており安心できるとのこと。かなりの商品は既に売り切れとなってしまったようだ。なによりも、購入者の多くに「風評被害に負けないで!」とのメッセージが込められていることと思う。

 イノベーター理論は、イノベーションの不連続性を指すモデルとして、度々示される。2/3を占めるアーリー・マジョリティとレイト・マジョリティは、共に他の動向を窺い、自分の行動の意思決定をするという点では同等と言えよう。
 ネガティブメッセージは、ポジティブメッセージより加速度的に伝搬することはよく知られており、風評も言わばこの2つの層の動向の表れと言っていいかもしれない。

 今回の「JA全農福島のネット販売」は、ネット(EC)がもたらした風評へのブレークスルーかもしれない。大手物流は、マジョリティを対象としている。大衆を構成する多くの層の動向を直接的に受けてしまう点から、意思決定は体勢の風向きに準ずるだろう。つまり、伝搬性の高いネガティブメッセージには、結果として受け入れざるを得ないということとなる。

 今日、大手が流通を占めるものの、ECが持つ流通の中抜きにより、ネット取引による少数派へのパスが震災支援の一つの在り方として見えたような気がした。

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