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地方都市のおじさんが思う「家族と仕事とお勉強のワークライフバランス」

技術者のためのビジネスゲーム 〜社内ワークショップで経営体験〜

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 定時後に参加希望者を募った社員向け教育プログラムとして、3期進めてきた社内ワークショップだが、今期の最後のテーマは、ビジネスゲームとした。ビジネスゲームとは、経営シミュレーターであり、コンピューター上にて架空の市場が設けられ、参加者となるプレーヤーが各々の企業/組織の経営を進め、主として競合他社となる他のプレーヤーと切磋琢磨/協調しながら経営体験を得るシステムである。机上のカードゲームのようなものから、ネットワーク上でのオンライン型まで、プラットフォームは様々であり、設定される市場や業種に加え、おかれるビジネス環境も様様である。

 ビジネスゲームでは、一個人が1社を経営する場合もあれば、複数名にてチーム/組織を形成して1社を経営する場合もある。

 このゲームから得られるものは、非常に多岐にわたる。設定させるビジネス環境にもよるが、企業におけるお金の出入りから始まり財務諸表の読み方、在庫管理の手法、市場におけるビジネスモデルの推定や、自社と他社との経営分析比較など経営学の座学ウンチクではやや実感が得られない面を、仮想敵ながらも体感することができる。また、複数にて1社を経営するとなるとメンバーの役割など、組織における意思決定についても学ぶものが多いと思う。

 今回のアイディアそのものは、私が大学院生時代に受けてきた講義を多いに参考にしているが、実際のビジネスゲーム環境は自身にて不慣れながらコーディングした。

 ゲームの設定は、次のようなものである。

次世代スマートフォン「ipon」(アイポン)の販売代理店経営

概要
メーカーから商品を仕入れ、販売価格と広告費を設定し、市場にて販売する。市場には、同じ製品を扱う販売代理店が数多くあり、競合他社との競争にある。市場は当初未成熟でありながらも、急速に成長し、ピークを迎えると衰退に向かうが適当な水準にて安定する。市場規模に加え、価格や広告以外にも、隠れたファクターにより、来店顧客は変化する。

ゲームの進行
ゲームを管理するコントローラーと、仮想企業を経営する複数名のプレーヤーによってゲームは進行する。コントローラーは企業経営はせず、ゲームの進行役となる。(無論、今回は私が担当)
入力ターンを1期とする。企業の意思決定として、仕入れ量、販売価格、広告費などを、制限時間内に入力する。制限時間を迎えるとコントローラーが各々プレーヤーの経営意思決定をもとにして、市場における来店顧客を算出する。算出にあたっては、価格に対する需要関数を基準として、広告費の効果など集客効果を加味して計算される。互いのプレーヤーの意思決定は、他社に影響を及ぼし、自社への来店客数の増加は、同時に競合他社での客数減となる。

価格、広告費
価格には弾力性をもたせており、安ければ来店客数は多く、高い場合には来店客数は減少する。費やした広告費に応じて来店客数は増加傾向となるが、線形に設定していないため、必ずしも過剰に広告費を投入しても比例した効果は得られないようにしている。また、各々の効果は、市場の成熟度合いに応じて、かなり変動するように設定している。

仕入れ
商品の仕入れる量は、企業経営の意思決定に大きく影響する。発注した商品が届くのは来期であり、発注量の決定あたっては、来期の市場規模の予測及び販売計画に加え、今期の販売計画を受けた来期への繰越在庫量を考慮する必要があるだろう。繰越在庫については、在庫管理費が発生し、過剰な在庫は経営を圧迫する。同時に、一定量以上の発注をすることで、メーカーからのボリュームディスカウントが得られるようになっている。これにより、仕入れコストの低減も可能である。

資金
経営のための資金は、自己資金に加え銀行からの借入金でスタートする。長期借入金は、ゲーム序盤は利息のみの返済で中盤以降に元本の分割返済がスタートする。また、短期借入金は毎期末に利息と元本を支払い、次期期首に同額を再融資する。(このあたりは、まさに中小企業っぽい感じ)さらに、キャッシュが底をつくと、金利は1.5倍になるペナルティも設定しており、キャッシュフローにも留意が必要となる。

他社情報
競合他社の販売価格と来店客数は、市場調査会社のレポートとして各プレーヤーに提供されるがそれ以外にはわからない。来店客数はあくまでも、来店者であり全員が購入できたとは限らない。

その他にも、来店客数に対して在庫量が少ない欠品状態については、顧客満足度を下げる観点から隠れパラメータにて減算している。

 社内のワークショップでは、まずゲームに慣れてもらうために、金利面や起業時の資金についても甘めの設定でスタートとした。エンジニアばかりの弊社であり、お金の面はやや苦手意識をもっているメンバーも少なくないが、参加してくれた5名はかなり真剣モードであった。
 一部、とんでもない製品価格設定も見受けられたが、和気あいあいとゲームは進んだ。各社、経営にも個性が見られコントローラー側の私も楽しく進めることができた。

 やや、ながくなったので、U/I をちょっとお見せして、次回に続こうと思う。

 個人的には、このビジネスゲームだが、社員研修には面白いと思っている。万が一、ご興味がある方がいれば、伺っての実演も可能です。無論、研修費など頂こう等とは思っておりません。もし、ご興味があれば、まずは、コメントなどに書き込みなど頂けると幸いです。よろしくお願いします。

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