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妻からの冷たい視線 〜多属性意思決定における判断停止〜

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 帰省した初日のことである。妻(以下、まるゆ)が持ってきたノートPCの無線LANの設定をしていると、突然、電源が落ちた。前から、バッテリーが弱っていることは知っていたが、たった数分で落ちてしまうとは・・・と、再度、電源を押し、セーフブートするも起動しない。一瞬、ブルースクリーンが表示されるが、すぐにリブートしてします状態。何をなっても、状況は改善しなかった。

 まさに、the last straw で、トリガーを引いてしまった。まるゆに、事情を話してみたものの、冷たい視線で空気が重かった。IT音痴の私と妻にて、叩いてみたり、アダプターを変えてみたりと、悪あがきも一向に明るい兆しはなかった。

 「しばらく様子をみる」とのまるゆの意見も、正月休みの最終日にて、「やっぱり、ほしい」と新聞広告を持ち出して、ノートPCの物色を始めた。妻の希望も聞きながら、ネット販売やオークションなど、数モデルをご提案。

 「これは、○万円で、○○GBで、HDDは○○で・・、こっちは、○○が付くけど、○○で・・・、中古なら、○万円で・・・」

 近くの家電屋さんに行ったりしたものの、まるゆの至った状況は・・・

 「ん・・・決めらんない・・・」

 ちょうど、先月、これまた、まるゆの携帯電話が調子が悪くなり、乗り換えも含めて、複数のショップに行くも、決められず、調子の悪いまま騙し騙し使っている様子。

 優柔不断気味のまるゆではあるが、多属性意思決定が垣間みれて、フムフムと思った。行動経済学にて研究が進んでいるようだ。価格や性能、品質やデザインなどの違いからくる多属性は、必ずしも、合理的な意思決定をもたらさないというものである。その中でも、まさに、まるゆの状態が示されているので面白い。

 Jacobyら(1974)のブランド選択における行動の研究(Brand Choice Behavior as a Function of Information Load)がある。この研究では、「情報項目が一定量を超えると、その情報量が負荷となり、判断を停止する」というものである。

 未だに、まるゆのノートPCは復活しないし、私の容疑もそのままである。世の中のノートPCが数種類だったなら、ささっと購入して、この忌々しい過去は流してしまいたいと思う。

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