ものづくり・ことづくり その2 - Linux Business Initiative -
昨日の続きから。
経済産業省の特定サービス産業実態調査に基づくと平成21年におけるソフトウェア業界の実態は、事業所数は約15,000事業所、年間売上げは15兆5000億円(内、ソフトウェア業としては約12兆円)とされる。(ここで指すソフトウェア業界は、受託開発およびパッケージソフトウェア開発販売。くわしくは、経済産業省)従業員構成は約7割が30人未満となっており(中央値で見て10〜29人)、従業員の9割以上(ほとんど98%程度)がエンジニアである。
興味深い点は、従業員一人あたりの年間売上げ高であり、中小企業(サービス業なので、従業員100人以下)に至ってはほぼ横ばい。厳密にみると4人以下が微妙に高く、以降、底打ちの状態である。年間営業費と各費用の関係から察しても、ソフトウェア産業における中小が、労働集約的であると同時に、資本活用が乏しい。
これは、エンジニア同士の相互作用による価値創造の低さもあるであろうが、ある意味でリーダー相当のホワイトカラーのレバレッジ能力、つまり、有能なエンジニアを組織的に活用する能力が問われていると言ってもいいかもしれない。エンジニアとして最前線での活躍を否定するつもりは毛頭ないが、指揮する立場となったとき組織を率い、1+1>2となるように、単純和を超えるアウトプットが出せているかという点にある。
次に、顧客サイドを見てみる。ここでは、主にB2Bに視点をあてた。広く、製造業と非製造業におけるIT活用の状況をみると、非製造業において中小企業と大企業の格差が広まっている。特に、広義の意味でのサービス産業における中小企業の占める割合の高さ、日本のGDPにしめるサービス産業の貢献度から見ても、注目されてしかるべきである。要するに、大企業では、非製造業のIT活用が進んでいる点からも、全ての中小企業とは言わぬとも潜在的な成長の可能性を秘めているということである。
2008年版の中小企業白書から、中小企業における情報システム会社の満足度を見ると、技術力や保守・運用には満足している様子が伺える。
サポート・メンテはよ〜くやってくれる。呼べば、すぐ飛んできてくれる。最新と言われる高価なシステムを謎のカタカナ用語での説明と、万全と言われるセキュリティの面倒を見てくれていることだろう。
しかしながら、企画/提案力、業務分析能力には不満が目立つ。情報システムの導入において、”業務プロセスの改善なくして成功なし”については、むしろIT技術者であれば、誰もが認識しているにも関わらず、顧客の業務プロセスには、ノータッチなのである。
以下、ハイサービス300選や中小企業IT経営力大賞の受賞企業を紹介しながら、技術者へ問うてみた。
ソフトウェア産業は、(サービス産業における中小企業である)顧客に対して、IT活用の青写真を用意しているだろうか?受託開発を主とする以上、青写真を書くことは自身の領域ではないとして、「ご指示の通り、お作りします」で、果たして、労働集約的な構造から脱却できるのであろうか?
示唆を残しつつ、まとめに続く。