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カイゼンが不慣れな組織こそ、Early Success 重視であれ!

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 所属する研究科では、サービス産業の生産性向上を目的とした研修プログラムを実施してきた。同プログラムは、大学院生と実務家との連携の下、大学の基礎研究を実務にて適用する試みであり、金曜日にて修了式を迎えた。私自身は、学生の身として主として運営のサポートをしながら、数社の業務カイゼンに対して相応の頻度にて助言をさせてもらってきた。
 前回のブログでも触れたが、サービスに対してより工学的なアプローチをもったカイゼンのフレームを提起しているのが、このプログラムである。守秘義務もあり、詳細には触れられないが、感じたことを綴ってみる。

 お手伝い差し上げた企業様は数社あるが、その1社様については、カイゼン対象は小売部門であった。ご担当者の熱意もあり、十分なヒアリングも重ねた。これまで、組織としてQC活動に準ずる経験は乏しいようであり、マネジャであるご担当者様も、やや現場との距離を感じている様子であった。また、小売ではあるが立地に制約もあった。

 アプローチとしては、ご担当者様、自ら現場に立ち、POSでは得られない定性的情報を吸い上げとした。立地の特殊性と大手企業ではないため、マーケティング的なアプローチではなく、マーチャンダイジング(特に、インストアマーチャンダイジング)的なアプローチを優先した。つまり、外部からの誘因を期待するのではなく既存顧客を重視し、「単価 × アイテム数」の観点の下、データをクロステーブルに集計し、ターゲットを絞った。
 クロスで見たとき、マーケターにとって判断に迷うケースもある。厚めの層を対象としてより深堀するか、むしろ、薄い層をどう掘り起こすかであろう。

 ここで、私の判断(といっても助言にあたって)は、ボリュームゾーンを活かした厚めの層の深堀とした。理由は、組織のカイゼン文化に対するアレルギー度合いを考慮したものだ。

 私自身、これまでの実務もふまえ、製造業であろうがサービス業であろうが業種・業態を問わずカイゼンの取っ掛かりにあたり、重視している点がある。ずばり、アレルギー度合いである。これは、20代の頃、プロセスカイゼンを通じて関係部署の諸先輩方を動かす際に非常に気を配った点であり、経験的に身につけたといってもいい。30代も半ばになり、改めて勉強するようになると、セオリーとしても決して間違ってらしいということが分かってきた。

 ハーバードのジョン・コッター教授も変革を成功させるプロセスの一つとして「できるだけ早い時期に、目に見えるはっきりした成果をあげる」ことを掲げている。また、『V字回復の経営』で有名な三枝匡氏も「早期の成功(Early Success)を示すことが重要」としている。

 今回、ボリュームゾーンへの訴求として、あるアイテムのラインを拡充することで販売量が増し、数字としての効果が見えた。また、ご担当者様が現場に立ち、現場とふれあい、カイゼンを進めたことで、現場スタッフからのフィードバックも出てきたとのことだった。

 無論、このカイゼンストーリーには、その先も想定しており、カイゼンから得られたアイディアを広く発展させ、周辺の競合小売点とは一線を画す差別化も十分可能である方策の感触すらある。

 崇高なご見識による工学的(データ分析)や、言葉ばかりのイノベーションを意識した大逆転も、組織の土壌なくしてはなり得ないと思う。サービスのサイエンスも必要だが、組織がもつ文化や背景も加味しながら、適したストーリーを手早く練り上げないことには、最終的な効果も期待できない場合もあるだろう。

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