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 Linuxが基幹システムの領域にまで浸食している、というニュースはよく見るが、実際のところ、ミッションクリティカルな領域でLinuxを運用する企業はまだまだ少ない。そりゃそうだろう。ほんの数分間のシステム・ダウンが即、数千万円の損失につながるようなシステムでは、高い信頼性や可用性が要求されるのに対し、Linuxはこれから信頼と実績を積み重ねていくフェーズにあるからだ。

 先週のVA Linux Business Forum 2005ではUFJ銀行の事例が紹介されていたが、同行に限らず、銀行が担当するビジネスの守備範囲は一昔前と比べると大きく様変わりしており、システムの強化や再構築が急務となっている。しかし、この手の事業においてはシステムの移行は並大抵の作業ではない。

 稼働率の問題1つ見ても、ミッションクリティカルなシステムでは、ファイブナインズ(99.999%)の稼働率、つまり年間5分程度のダウンタイムしか許容されないレベルが往々にして求められる。この稼働率を達成するために、多くの銀行がメインフレームや商用UNIX上で独自に開発した基幹システムを運用していたのだ。 日本では、海外と比べると、システムダウンに対する意識が強い傾向がある。「システムが停止しないこと」は言うまでもないことであり、それ故信頼性に対して高いものを求めることが多いが、この領域ではそれが際だっている。

 しかし前述したように市場のニーズに対応していくには、こうした独自システムでは柔軟性に欠けるし、その運用コストもかかりすぎる。それでは将来的に市場競争力を大きく低減させてしまうことは明白となる。だからこそオープンプラットフォームが求められるのだが、現状では、システムを全面的にLinuxに置き換えるのは現実的でないとの見方がまだ強いようだ。

 VA Linux Business Forum 2005の1セッションでは富士通が登場し、PRIMEQUESTの概要とLinuxによる基幹システム構築について自社の取り組みを話したが、その中で「Red Hat Enterprise Linux 4は基本性能で言えばSolaris 7と同等のレベル」という話があった。ここだけを見ると、RHEL 4の信頼性はかなり遅れを取っているなと感じるかもしれないが、後で聞いたところ、基本性能だけなら、Solaris 7とSolaris 10でとんでもなく変わるわけじゃないから、基本性能で言えば商用UNIXと同じくらいのレベル、という意味だったそうで、むしろ強調したいのは例えばSolaris 10で実装したコンテナやセルフヒーリングといった機能、つまり信頼性や可用性を向上させるための機能が弱いということだった。

 今後、この部分がどのように強化されるかが、ミッションクリティカルな領域においてLinuxが普及する1つの鍵となるのだろう。注目したい。Xenとか詳しくならんとなぁ……。

ってかその前に今日の朝配信するコラム書かないと……。うぐぐ。今日からこのブログもバッファあふれと改名するか……。


クラッシュダンプ対決!

そういえば先週ミラクル・リナックスの広報の方とお会いしたが、同社もクラッシュダンプをビジネスにしていた。VA Linuxとミラクル・リナックスで障害解析対決!みたいなのをやってみたいと思った。


金融庁、システム統合の準備不足で三菱東京とUFJに警告

む、タイムリーな。ちょっと心配

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