Kindleを販売しない小売店(意味もなく俳句調)
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eBook USERの記事として書こうと思ったが、ソースが日経なものを記事にするのもどうかと自制して、こちらにメモ書き程度に書き残しておこうと思う。
ヤマダ電機、ヨドバシカメラ、エディオンの3社が、Amazonが11月19日から販売を開始する「Kindle」の販売を見送ることを決めたと日本経済新聞が11月17日付けで伝えている。一方で、Amazonサイト上に出店しているビックカメラ、ケーズホールディングス、上新電機はKindleを販売すると記事では触れられている。この記事からはKindle Paperwhiteだけなのか、Kindle Fireを含めたKindleシリーズ全般なのか読み取れないが、恐らく後者だろう。
今回3社が販売を見送る理由として挙げられているのは、大きく分けて「Amazonへの顧客流出につながるから」「店舗側の粗利率が低いから」の2点。前者について言えば、ヨドバシカメラは楽天koboの「kobo Touch」を取り扱っている。Amazonも楽天もネット通販を手掛けているのに、この違いは何だろう。ネット通販憎し、という理由だけではうまく説明しきれない。
その理由の1つが、「店舗側の粗利率が低い」なのだと思われる。Amazon自身がハードウェア販売からの利益を追求していないのは、ジェフ・ベゾスCEOから幾度となく語られている。製造原価に近い価格で販売しているのだから、量販店が店頭販売しても、需要の割に利益にならないことは想像に難くない。
一方で、Koboの端末は、ヨドバシカメラやエディオンも取り扱っており、そのほか、ビックカメラ、ソフマップ、コジマ、Joshinで店頭販売されている。11月15日にはカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)最大のフランチャイジーであるトップカルチャーが運営する店舗での販売も開始された。
Koboはタブレット端末「kobo arc」を今後日本でも販売予定で、端末からのコマースを推進していく姿勢を明確に示している。恐らくarcは量販店でも販売されるだろうが、量販店からみればそれも顧客流出のはずだ。それでもこうした違いが出てくるのは、Koboが量販店と良好な関係を築けているからだと考えられる(量販店にもある程度うまみのある条件なのだろう)。
となると、結局のところ、ネット通販に対してというよりは、Amazonに対するピンポイントなアレルギー(または脅威)なのだろうと、書いた割には特に語るまでもない結論が出てくるのだが、それは何も日本固有の現象ではない。海外でも、米国では量販店チェーン大手のTargetが5月に、9月には最大手のWalmartがKindleシリーズの販売中止をそれぞれ発表している。
リアル店舗がショーケース化し、購入はネットで、というのは、孟子の「水の低きに就くが如し」、攻殻機動隊 S.A.C的には「水は低きに流れ、人の心もまた低きに流れる」を持ち出すまでもなくすさまじい水流として顕在している。今回3社がKindleの販売を見送ったことで、その流れをほんの一時遅らせたとしても、ネット通販の利便性に勝るものをリアル店舗が打ち出せなければ、結局のところ焼け石に水となりかねない。さらに言えば、ハードウェアではなく、電子書籍のようにコンテンツにこそ意味があるものは、この傾向がさらに強く出てくるはずだ。その意味では、リアルの書店にも同じ問題が突きつけられている。
ちなみに現在、Kindle Paperwhiteは世界的にみても供給不足の傾向にあり、今注文しても海外でだいたい12月以降、国内だと2013年1月以降の発送予定となっている。すぐにでも購入したいなら、ビックなどで販売されているものを狙うのも手だろう(どの程度入荷するかは不明だが)。ちなみに11月19日は、米国で初めてKindleが発売された日でもある(2007年11月19日)
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