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パリでビル・ゲイツ氏が不機嫌そうに見えた理由

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24日、ビル・ゲイツ氏がフランス・パリのシャンゼリゼ通りに面したサロンで開かれたソフトウェアに関するカンファレンスに登場した。このイベントは、フランス政府、フランスが誇る大手ソフトウェア会社のDassault Systemesなどが協賛したイベント。同国におけるソフトウェア産業の振興を図るのが目的で、ソフトウェアが国の経済や雇用にとって大切ということを確認するものとなったようだ。

24102005_013_s午後15分ほど登場したゲイツ氏、産業担当大臣のフランソワ・ロー氏のスピーチ中に席に座る。このとき、ロー氏は自嘲的ともいえる冗談を連発しながら、世界のOSのシェア、検索エンジンのシェアについて触れていた。Microsoft1社の年間売上高は同国の全ソフトウェア会社をあわせた額を上回っているらしく、つまり、“重要な部分は米国に持っていかれている”といいたかったようだ(このところ、これは欧州にとって重要なトピックである)。途中で席に着くゲイツ氏を振り返り、ロー氏はやっと来たといわんばかりに、「ハロー」と英語で話しかける。

ロー氏はさらに、フランスとドイツが共同で10億ユーロを投資して進めている検索エンジンの研究開発について触れ、このようなR&D戦略、ベンチャー立ち上げに関するルールを簡素化することなどを通して、フランス政府はソフトウェア産業復興に取り組んでいることをアピールした。

ゲイツ氏はその後、ソフトウェアは世界経済と雇用(これを言われるとフランスは弱い)にとって重要であり、標準がかぎを握るとコメント。ロー氏らと握手をし、会場を後にした。会場ではゲイツ氏のコメントを聞くための同時通訳のイヤホンが配布されていたが、ほとんど利用されることはなかった。

ゲイツ氏の今回のフランス訪問の目的を知らないが、欧州では公共機関の多くがオープンソースを好んでいること、熱心に働きかけたソフトウェア特許がひとまず滞っていることなどが背景にあり、おそらくはこのあたりで政治的活動をしたのかなあ、と勝手に予想する。

*写真は、笑顔で握手するゲイツ氏とロー氏。

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