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オリンピックとソフトウェア特許

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パリの今日のニュースといえば、2012年オリンピックの開催地に選ばれなかったこと。しかも、敗れた相手はお隣、英国・ロンドンである。英国はブレア首相自ら、投票が行われるシンガポール出向き、サッカーのベッカム選手も乗り込んで最後のアピールを行った。「フェア」をプライドとしていたパリ市民は落胆している。

072005_s実をいうと、パリはこのところ何度もオリンピックに立候補してきた。中国・北京に決定した2008年、1992年(スペイン・バルセロナ)の時も名乗りを上げている。1998年のワールドカップがパリだったことを考えると、このところめぼしいイベントがなかったロンドンでいいと私は思う。英国はいま現在、英・独・仏の中で最も景気が良いといわれており、今回のオリンピック決定を受け、しばらくは活気を維持できるだろう。EU全体にとっては、歓迎すべきニュースだ。

それに、ロンドンで開催されることは、パリにも多少の経済効果を及ぼすと思う。実際、パリとロンドンは驚くほど近くなっている。ユーロトンネルを通るユーロスターで約2時間45分。新しい工事が進行中(まだかも?)で、今後所要時間はさらに短縮するといわれている。時間はもちろんのこと、料金も安くなった。早めに予約したり、2人で旅行すると通常料金(片道)が200ユーロ程度のところが、65ユーロあたりまで下がったりする(お互いの国の首都圏交通機関が時刻表どおりに行かないことが多いことを考えると、街の中心まで運んでくれるユーロスターの方が飛行機よりもはるかにお勧めです)。
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オリンピックから話が大きくそれるが、本日行われたもう一つの重要な投票として、欧州ソフトウェア特許(「Directive on the Patentability of Computer-Implemented Inventions(コンピュータで実現される発明の特許取得に関する指令)」)がある。ITMediaさんで詳細なニュースが出ると思うが、欧州議会は648対14(欠席18)で同指令を否決。ソフトウェア特許に関して、EU加盟国共通の枠組みを作ろうという試みは、まずは失敗に終わったようだ。

2002年に提出されて以来、賛成派と反対派が激しく対立し、大規模なロビー活動が繰り広げられた同指令、実に3年の月日を経て白紙に戻る。EC(欧州委員会)側は、当面は同様の法案を作成したり、現行案の修正バージョンを提出する予定はないとしている。

修正案が次々と出され、そのたびにニュアンスが変わったため、私も情報の整理ができていないが、そのうちにまとめたいと思う。

*写真は、誘致キャンペーンで使われたステッカー。街のあちこちで見かけたが、明日からはなくなってしまうことだろう。

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