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iBooks Author 1.0と1.0.1の利用許諾契約(EULA)比較 ▼あるいは iBooks Author は同人誌ユーザーにウケるか?

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前回のエントリー「iBooks AuthorのファイルフォーマットはEPUB3非互換」では、iBooks Authorの問題点のひとつ、ファイルフォーマットについてしか触れませんでしたが、ライセンス(使用許諾契約書)の内容にも問題がありました。問題となっていたのは、ITmediaでも、すでに西尾泰三記者が記事で書いているとおり、「作成したコンテンツを有料で販売しようとする場合にAppleのiBookstore以外の選択肢がなかった点」です。

そのiBooks Authorの利用許諾契約(EULA)が2012年2月3日に改訂されました(バージョン1.0.1はEULAのみの改訂)。engadget日本版の記事「iBooks Author が規約改訂、iBooks 形式以外は iBookstore 以外でも販売可能に」では、規約の変更点を以下のようにまとめていました。

v1.0.0の規約
無料本:好きに配布して良し
有料本:iBookstore などアップルを通じて販売するか、個別にアップルと契約を結ぶべし
v1.0.1で改訂された規約
無料本:好きに配布して良し
iBooks 形式の有料本:iBookstore などアップルを通じて販売するか、個別にアップルと契約を結ぶべし
その他の形式の有料本:好きに販売して良し

以下に、使用許諾契約書で実際に変更された箇所を挙げておきます(黄色い四角で囲んでいる箇所が変更点です)。

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iBooks Author 1.0 使用許諾契約書 Ibookauther1001010a_2


Ibookauther1001010b


iBooks Author 1.0.1 使用許諾契約書
Ibookauther1001011a

Ibookauther1001011b

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エンドユーザーからすると、当たり前の内容になっただけで、iBooks形式で販売したければiBookstoreを使わなければならない点に代わりありません。これは電子書籍販売を推進したい出版社にとっては大きな足かせですが、個人使用なら問題ないでしょう。それどころか、iBookstoreという集客力のあるプラットフォームを利用できるというメリットがあります。

筆者の予想としては、日本でiBookstoreが解禁されたら、日本全国の同人誌ユーザーが殺到するのではないか(※1)と思っているのですが、遠野君に聞いてみたところ、以下のような返事が。

同人誌を売ろうというような おたくユーザーは iBookstore に個人情報を登録したがらない(たとえ、一般には非公開にできるとしても、個人情報を拡散するようなことはしたくない)」

ううむ、それは大いにあり得ると納得してしまったのでありました。

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※1 同人誌ユーザーにiBooks Authorがウケる理由としては、紙面イメージどおりに表示できる(ePUBのようにリフローしない=コンテンツがページからあふれない)、インタラクティブな処理が可能、融通がきかないPDFより細かい制御が可能、などが考えられます。もちろん、これらはビジネスユーザーにもメリットではありますが。

本エントリーは、Webサイト構築ソフト(HTMLエディタ)のMarsEditを使用して作成しました。設定については、柳下さんのエントリーを参考にしました(書いてあるとおりに設定したら見事アップ完了!)。

オルタナブロガーに捧ぐ MarsEdit の設定方法|Power to the People
http://blogs.itmedia.co.jp/yaggie/2012/02/marsedit-5ac0.html

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