管理職も若手も「世界でだれがふさわしいか」で選ばれる時代
■グローバル化する採用・人事制度
本エントリのタイトルは、2010年5月19日(水)の日経新聞 朝刊で連載されている「企業 強さの条件 第3部」からの引用だ。
奇しくも、この記事の冒頭で紹介されていた海外派遣されたNECの社員は私と同い年(26歳)だった。パソコンや携帯電話事業で海外から撤退したNECでは、国際経験を積んだ幹部候補がめっきり減ったそうだ。「だれが将来の海外事業拡大を担うのか」という会長の矢野さんの危機感がきっかけとなり、入社2年目を対象として選出した社員を海外に派遣する新制度が導入された。
そのほか、
- 米デュポンの元副社長を社長に招く日本板硝子 (前社長も買収した英ピルキントンから起用)
- 海外の優秀な人材を獲得・抜擢するために、世界規模で人事評価基準を統一した資生堂
- 11年度、海外採用を国内の4倍近い1,100人とするパナソニック
など、海外の力を積極的に取り入れる日本企業が記事中で紹介されていた。そして、経営トップに限らず、管理職も若手も「世界で誰がふさわしいか」で選ばれる時代である、と。
■日本の競争力が落ちている
「日本の競争力、27位に急落 中韓台下回る」という調査結果が今月19日に発表された。前回の17位から急落している。ちなみに、今年は初めてシンガポールが首位を獲得した。(スイスの有力ビジネススクールのIMD(経営開発国際研究所)の「2010年世界競争力年鑑」から)
日本は「法人税の高さ」について58カ国・地域中で最低の評価。また、「外国人労働者や外国企業の受け入れ態勢」も評価が低い。優秀な人材を世界から引っ張って来れていないのだ。さらに、日本は少子高齢化が急激に進むが、アジアなど新興諸国は逆に人口増加の真っただ中だ。グローバル展開を目指す日本の企業にとって、日本にいること自体が足かせになるというのは皮肉なものだ。一方、チャンスは世界中に転がっているとして、それを勝ち取れるのは果たして日本人なのか。
「課長昇進に求められるTOEICの点数は三星(サムスン)電子が920点以上、ソニーが650点以上」、「今年のハーバード大学の1年生のうち、韓国人は200人、中国人は300人いるのに、日本人はわずか一人」…といった海外の人材動向に関する話題が最近Twitter上でも良く飛び交う。これらについて言及している大前研一氏の下記の記事が、とても刺激的なのでオススメしたい。
■日本企業の新常識「国内採用抑制、海外採用増」 - 大前研一の日本のカラクリ(プレジデントロイター)
「世の中の大半は、景気が戻れば雇用も戻ると信じているのだからおめでたい。」
こうした機感を、いまどれだけの日本のビジネスマンが持っているのだろう。
このテーマについて今後も継続的に追いかけていきたい。