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換気量を増やしたいなら窓は入口側出口側とも全開です!!

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例の感染症対策のために「換気」が推奨されていますが、換気の具体的な方法に関して誤情報がはびこっているようです。

「換気をするときは、風の入口側の窓を狭く、出口側を広く開けたほうがよい」

これ、複数のTV番組で紹介されたらしいですが、間違いですからご注意ください。

「換気をするときは対角線上の窓を開けよう」というのは正しいんですが・・・

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そこはいいんですが、給気側(入口)を排気側より狭くした方が換気しやすいなんて、そんなことはありませんから。

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もしこれが本当だったら冷却システムの設計がどんだけ楽になることか。あ、僕は設計したことありませんので想像で語ってますが。

まあ真面目な話をすると、建築系のブログで解説されている自然換気量の計算法を紹介しましょう。

出典:自然換気量の計算法

下記が自然換気量の計算式。αAが「有効開口面積」要するに窓の広さで、つまり窓が広いほど換気量は大きくなります。

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では「有効開口面積」はどう計算するかというと、こうです。

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給気側と排気側は等価であり、面積の逆数の2乗を足してさらに平方根を取って逆数を取っていて、2回逆数を取るわけですから結局、単純に入口側出口側とも窓の面積が増えるほど有効開口面積も増えるわけです。

というわけで、「換気量を増やしたいなら窓は入口側出口側とも全開にしてください」というのが結論です。

まあ、こんな誤解が生まれてしまった理由は想像がつきます。入口側を狭くするとその分、「流入する風速は上がる」 ので、それを 「換気が良くなる」 と勘違いしちゃったのでしょう。でも、風速は上がっても風量は下がってますから!!!

では、皆様ご安全に!

(追記)

三菱電機株式会社の資料を見つけたので貼っておきます。入口が広いほど換気量は増えるという、同じ趣旨です。これはわかりやすいですね。

出典:押さえておきたい換気の基礎<初級編②>

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