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範囲指定のある説明とない説明の混在

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こんにちは。ドキュメント・コンサルタントの開米瑞浩です。

今回は簡単な事例です。

大規模修繕中のあるマンションで、工事に関する案内として配布された資料の一部なのですが、ちょっとした誤解を招きやすい表現になっております。

わかりますか?

2015-1125-1.PNG

実はこれを下記のように順番を変えるだけで、その誤解は少なくなります。

2015-1125-2.PNG

問題は、「7階」という表現でして、

(1)7階屋上防水工事
(2)廊下側足場周り防水工事

という順番で書くと、(1)の「7階」に意識が引きずられて、(2)廊下側足場周り防水工事 も7階のことだろう、と思い込みやすいんです。
よく読むと「(2)については範囲が書かれていない」ことに気がつくのですが、こういう一見簡単そうな書類を「よく読む」人はそういないので、さらっと流し読みで得た印象、思い込みがそのまま残ってしまうことがよくあります。

(1)と(2)の順番を逆にすると「7階」という印象がつかないうちに廊下側足場周りの工事の情報が入るので、思い込みはしにくいです。

とはいえ、一番いいのは、どちらも範囲を明記しておくことですね。

(1)7階屋上 防水工事
(2)全フロア 廊下側足場周り防水工事

こんなふうに範囲を明記しておけば誤解は生じません。

この事例に限らず、「範囲指定のある説明とない説明の混在」は避けるべきです。くどいようでも、範囲をいちいち明記したほうが、ビジネスコミュニケーションでは誤解が少なくなりますので。

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