プレゼン小技:ゼスチャーを3秒キープする練習
こんにちは。ドキュメント・コンサルタントの開米瑞浩です。複雑な文章をわかりやすく書き直す技術や、それを人前で話すプレゼンテーションの教育研修を行っています。
プレゼンテーションの小技のひとつに「ゼスチャー」があります。
たとえば「この問題を考える上でのポイントは3つあります」のような場面で使う「ナンバリング・ゼスチャー」などはおなじみでしょう。
この「ナンバリング」に限らず、ゼスチャーを使う場合に気をつけたいことのひとつに、
ひとつの動作に3秒かける
というものがあります。(まあ、実際は「3秒かけるぐらいの意識でゆっくり動きを止めながらやる」ということなので、ストップウォッチで3.0秒を計るような必要はありませんが)
というのは、プレゼンに慣れていないと、「3つあります」のようなゼスチャーをせっかく出しても1秒も止めずに下ろしてしまうことがよくあるんです。動きが速いと、
・ちょこまかとして落ち着きが無いように見えやすい
・動作が中途半端になりがち
・たまたまその瞬間、よそ見をしていた人は気がついてくれない
という問題が起きるので、ゼスチャーを出すときは「ひとつのポーズを3秒キープ」するぐらいの意識でいたほうがいいです。
ただし、これも「言うのは簡単、でも実践は意外に難しい」もので、練習しておかないとなかなかできません。人前で喋るときというのはどうしても緊張するので、時間の経過が速く感じます。なので、事前に「3秒キープというのはこのぐらい止めておくんだな」という感覚をつかめるように練習しておきましょう。
実際、私が主催しているプレゼンテーション練習会で、あるときこんなゼスチャーが出てきました。
「必要なコストを大きく下げることができます」というトークに合わせて、手を肩の高さから腰の高さまで下ろすことで「コストダウン」のイメージを演出するゼスチャーです。
ところが、このプレゼンをした方は、このゼスチャーを「ゆっくり」演じることがなかなかできずに苦労されていました。
聴衆から見ると明らかに動きが速いので、「もっとゆっくり、今の2倍の時間かけて!」と何度も指摘するのですが、3回ぐらいやりなおしてもほとんど変わりませんでした。
そこで次に試してもらったのがこういう方法です。
「必要なコストを・・・」というトークをやめて、代わりに、
手を挙げた状態で「イチ・ニ・サン」
手を下ろす動作をしながら「イチ・ニ・サン」
と、数字を読み上げながら「ゼスチャーだけ」をやってもらいました。
すると、「ああ、このぐらいゆっくり動かせばいいんだ」というカンがつかめたそうで、その後は大きく改善されました。
人間は同時に2つのことはできないもので、トークのセリフのほうに気を取られている間は、ゼスチャーには気が回りません。そこで、いったんトークを忘れてもらったわけです。
「複合的な動作がうまく行かないときは、できるだけ分解してひとつひとつ練習してみる」
これはプレゼンの練習に限らず、いろいろなスキルについて言えることですね!
以上、今回は「ゼスチャーは3秒キープする」という小技についてお伝えしました。