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情報構造化例:「情報セキュリティ教育指導者向け手引き書(2007)」-(2)

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こんにちは。ドキュメント・コンサルタントの開米瑞浩です。複雑な文章をわかりやすく書き直す技術の教育研修や実際に書き直してしまうリライト業務を行っています。

前回の例題をまずザクっとやってしまいますと、こんな感じです。

2015-0827-1.png

実はこれは前回掲載の「課題文書」を前から順番に切っただけです。官庁が何らかの「問題」に対する報告や提言を行う時はこういうパターンが多いですね。

これで一歩前進ですが、こうして分割してもまだ長いので、もう少し考えてみましょう。
たとえば最後の「現実」の項をこうしてみます。

2015-0827-2.png

箇条書きにした上で、「理由」を一段下げました。このほうが「十分なものとは言えない」という現状評価の結論が読み取りやすくなります。

さらにこれをもう一歩進めるとこんなふうに書くこともできます。

2015-0827-3.png

こう書いたほうが、

  • 「十分ではない」という結論が先頭にあるので、「ああ、問題あるんだな」ということが一目で分かる
  • その結論を出した理由が「評価項目」と「評価」に分かれているため、どの項目をどう評価しているのかも一目で分かる

というメリットがありますね。

実はこの書き方は、「要約-詳細」関係の一例です。

2015-0827-4.png

「要約-詳細」関係は、長い文を書く場合の基本中の基本と言っていいので、常に意識するべきです。(ただし、「詳細」部分が常に「評価項目-評価」というフォーマットでいけるとは限りませんが・・・)。

「長い」といったら「背景」「理想」パートは「現実」パート以上に長いので、そちらも「要約-詳細」関係にリライトしてみるべきでしょう。

→というわけで、次回に続きます。

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