良いプレゼンテーションを作るための5項目
言うまでもありませんが、プレゼンテーションというのは、「他人に何かを伝える」活動です。
それをうまく行うために必要な要素を私は大まかに5つの側面から考えています。
「バックグラウンド」 で重要なのは、自分自身が問題を理解していること。よくわかっていない問題についてプレゼンしてもうまく行くはずがないので、事前に十分勉強しておくことが必要ということです。
そして、問題をよく理解していれば、言いたいことが出てくるはずです。たとえば「学校での体育活動に伴う事故事例を調べた結果、組体操は子供にやらせるには危険すぎる。やめさせなければならない」と思ったとしましょう。この場合、「事故事例を調べたこと」 が 問題への理解、「子供の安全を確保したい」 というのが 動機です。「理解」しただけで、特に「動機」がないのであればプレゼンをする必要がありません。言いたいことがあるならそこには「動機」があるはずで、それは「理解」とは別な項目です。
以上のように、「問題の理解」と「動機」、この2点がまとめてプレゼンを行う場合の「バックグラウンド」です。
次に、 「ゴール」 というのはそのプレゼンで達成したい目標であり、誰にどんな変化を起こしたいのかを考えます。たとえば「組体操をやめさせる」というのが最終目標だったとしても、1回のプレゼンでそこまで到達できるとは限りません。
- 安全確保の重要さに関する意識を高めてもらう
- 組体操の危険性について理解してもらう
- 組体操をやめる決断をしてもらう
など、とりあえずどこまで理解してもらうのか、という具体的なゴール設定はいろいろ考えられるので、それを確定させます。これを確定しないとシナリオを作れません。
次に、 「シナリオ」 というのはプレゼンテーションの全体の構成です。最初にAの話をして、次にBの話、最後にCの話・・・という具合に最初から最後までの流れのラフ案を作ります。映画で言えば絵コンテ、漫画で言えばネームの段階です。ゴールから逆算するほうがいいので通常はゴールを決めた後でシナリオを作ります。
次の 「パーツ」 というのは、シナリオの中で使われる具体的な写真、文章、図表といったものです。シナリオが決まらないと、どんなパーツが必要かも決まらないので、通常はシナリオの後で作ります。PowerPointやKeynoteでスライドを作ってプレゼンをする、という場合、そのファイルの完成がつまりパーツの完成を意味する場合が多いですね。(スライド以外に現物を持ち込んで見せたりといった小道具を使う場合はそれも「パーツ」にあたります)
最後の 「デリバリー」 が実演です。お客さんを集めてその前に出てしゃべることです。この「デリバリー」にはちょっとした小技的な技術がいろいろとあるのですが、多くの方がそれを知りません。中にはちょっと練習するだけで格段に見栄えが違ってくるものもあるので、ぜひ知って欲しいと私は願っています。
そんなわけで、プレゼンテーションの練習会は主にその「デリバリー」の技術を練習する場として開催しています。
デリバリーの技術については当ブログでも既にいくつか書いたものがありますが、これから書いていきますので、独自に練習される際には参考にしてください。
なお、私自身は本来はシナリオとパーツを作るのが専門で、デリバリーの指導は本職ではありませんが、この件についてご相談を受ける機会も多いのでこうして書いています。
プレゼンテーション練習会に興味のある方は、下記案内をご覧ください。
→プレゼンテーション練習会(6/13) のお知らせ