見えにくさを逆手に取るアピール法
ドキュメント・コンサルタントの開米ですが、今日はプレゼンテーションの教科書には載っていない、プレゼンの小技のお話を。
10年ぐらい前に、ある会社で図解とプレゼンテーションの研修を依頼された時の話です。
ある社員さん(Aさんとします)がプレゼンの途中で急に自信なさげな声になりました。
「それと、○○についてなんですが、すみません、
ここに出ていますけれど、小さくて見づらいですよね・・・
えーと、これ、○○です」
という感じ。
そのときプロジェクターで投影されていたスライド、確かに見づらかったんです。
情報がゴチャゴチャと詰め込まれていて、その中でも小さくてよくわからないものについて説明しようとしていたので、その話を始めようとした瞬間、「こりゃまずい」と気がついたそうです。
「小さすぎる。これじゃ見えないよな。どうしよう・・・」
と思っても今から修正するわけにはいかないので、うろたえて声も小さくなり、言い訳がましく「すみません(中略)小さくて見づらいですよね・・・・」と言ってしまったそうで。
現場でこういうことが起きたときにどうすべきか、という話はあんまりプレゼンの教科書には載っていません(^_^;;;
そもそもこんな事態が起きないようにコンテンツを作るべきであり、それは事前準備の問題なので、準備をきちんとしようね、ということは書いてあっても、「やってしまった時のリカバー方法」は書いてない。もちろん、準備を完璧に出来ればいいんですが、人間はパーフェクトじゃないのでどこかでこういう事態は起きるもんです。どうしましょうか。
こういう、失敗からのリカバーのノウハウは、実際にやってみて失敗してからじゃないとなかなかわかりませんね。
で、私はそのときAさんにこう言いました。
「確かに見づらいので、それを逆手にとって強調してしまいましょう。こんなふうに言えばいいでしょう」
「○○についてですが、ここに出ています。ここです!
見えますか? ごめんなさい、小さくて見えないですよね。
ですから、よおーーーーーく見てください。
これ、実は○○なんです」
「見えますか?」と問いかけて、「見えないよ」という心の声が出たところでそれを代弁する。
その上で、「見えないので、よく見てください」と逆に注意を向けさせる材料に使う。
これを言い訳がましくなく、堂々とやれば、見えにくいものをかえって印象強くアピールできます。
こういうノウハウはなかなか教科書には載りません。実際やってみて、改善策を出し合うことで初めて分かるものです。
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