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生きたマーケティング、海外デジタル・マーケティング事情、セールスオペレーションでリードするビジネスモデル

インターナショナル・マーケティングのチャレンジ(パート1)

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インターナショナル・マーケティングのチャレンジというというと、海外でのマーケティングに取り込む日本のグローバル企業の話題のようですが、本日は逆のチャレンジのお話です。

日本ではケチャップでおなじみのハインツですが、実は本社のある米国、イギリスやオーストラリアでは、朝食に食べる"ビーンズ"豆がメインのビジネスです。

宣伝会議やマーケティングの展示会・カンファレンスによく出ているサイトコア事例をご紹介しながら、解説したいと思います。

ケチャップやソースでおなじみのハインツ・ジャパンの本社は米国ペンシルバニア州ピッツバーグにあります。50カ国以上の国でトップまたは2番手のシェアを持つそうです。すごい優良企業ですね。15以上あるトップブランドによる売り上げは、年間売り上げの全体の3分の2なんだそうです。

Webサイトのリニューアルするにあたり、グローバル企業ではよくある、統一したブランドイメージをハインツのグローバル・マーティングでも実践しようとしたそうです。サイトコアのSaasプラットフォームのCMSを入れて、Webサイトはグローバルに共通のテンプレートで一体感のあるものを管理していく予定だったそうです。

ところが本社を含める英語圏の国々では、当時缶詰豆"ビーンズ"や他の缶詰類が代表的な製品のため、それらのイメージが一面に出てくるわけです。

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英語圏の人たちは、朝トーストと一緒にビーンズ食べる人が多いです。日本でこれがWebサイトの一面にでても、消費者はまったくピントこないですよね。

ハインツジャパンのWebサイトをフロントページをごらんになると、レシピが目立ちます。日本の食文化に根ざした情報発信をしたいとハインツジャパンのマーケティングの方(大垰 雅俊氏)は、苦労されたようです。消費者の行動心理を考慮したユーザーエクスペリエンスをサイトに反映させるために、サイトではレシピ検索から入って、商品の詳細情報、さらには購入までがワンストップで行えるようなっているそうです。

その結果、一回のサイト訪問あたりのPVは従来の1.7~1.8倍に増加、離脱率は半減に近くに、2~3割程度だったリターン率も4割近くまで達したそうです。

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成果がすばらしいですよね。

とわいえ、今だからえますが、結果が出てないのに本社のマーケティングを説得してこれだけのプロジェクトを実行するのは、本当に大変なことだと思います。そもそも、アジア諸国や、日本の文化なんて無関心なのが、大体のグローバル企業の本社マーケティングというものです。管理が楽だからSaaSのCMS入れたのに、日本は独自のテンプレートでやりますと言って納得するわけがないです。しかしハインツ・ジャパンはやり抜いたのですね。インターナショナル・マーケティングのチャレンジで一番必要なのが、文化の違いやターゲットの行動心理の違いを本社に説得する、信念とエネルギーです。

今度時間があったら、いつも見るレシピサイト以外にもハインツ・ジャパンも見てください。

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