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【第6回 ITmedia エグゼクティブ セミナー】パネル・ディスカッション:やはり最後は意志のちからだ

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9月30日(火)に開催された『第六回 ITmedia エグゼクティブ・セミナー』では、最後のセッションとして、パネル・ディスカッション「BPMの成功と失敗の分岐点--経営のインテリジェンスはどこまで生かせるか」が行われた。

モデレーターは、ITR のプリンシパル・アナリスト 浅利 浩一 氏、パネラーに、日本BPM協会 理事 横川 省三氏と某金融機関の会社の部長氏である。今回のパネルでは、BPMの成功事例として、実にためになるお話を聞かせて頂き、たいへん感銘を受けたのである。匿名にさせてもらうのは、このITmedia エグゼクティブが会員制であり、やっぱり会員にならないと、こういった話は聞けないということだ。(と、勧誘しているのですョ!)

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某金融機関のこの会社では、BPM (Business Process Management) を使った経営戦略を推進されている。経営戦略の中心に品質を置き、それを具体的な商品などに展開していく。今回お話していただいたのは、お客様とのやり取りのプロセスを、どのように新しい品質の業務プロセスにするのか、ということだ。
 
お客様とのやり取りは、公正に、漏れなく、迅速に行うことが、品質の大前提だ。この事をやり遂げることが品質を保つことなのだが、この企業ではそれだけではなく、それ以上のものに取り組んだ。お客様に不満を持たれない、お客様の信頼を得る。お客様に感動を与える品質。これを、単なるモットーではなく、実際のプロセスに組み込んでいるのだ。
 
時間をかけて分析とモデリングを行われたようだ。もちろん、プロセスなので、KPI(Key Performance Indicator :主要業績評価指標)を確実に把握する必要もある。ITR の浅利氏は、豊富なコンサルテーションの中で、大概、この分析とモデリングで疲れてしまい、プロジェクトが頓挫する事が多いと指摘された。BPM協会の横川氏は、こういったモデリングの際に、ビジネスルールに注目べきでる点を協調された。
 
この某社の部長氏の重要な指摘は、モデリングをしても業務プロセスが出来たわけではない、という点だ。ここで、BPM ツールに業務プロセスを落とし込んでいく作業が必要になる。重要なのが業務プロセスの粒度だという。
 
さて、このプロジェクトを推進されてきて、私が想像するに、関連部門との調整、役割分担などが、きっと難しかったのではないだろうか。某社の部長氏は、価値観を共有するといった趣旨のお話をされた。推進する IT部門、ビジネス部門、さらには実際にお客様に接する各担当者の意識を、価値観を同じ方向に向かせていくことは、たいへんだと思う。
 
このお話を聞いて思い出したのが、ITmedia エグゼクティブの2008年7月24日のニュースで、ガートナージャパン、バイスプレジデントの飯島公彦氏の講演の言葉だ

「SOAやBPMを適用すると自動的に業務プロセスが改善されるのではなく、人自身がそのための設計を確立するのである。SOAを推進するには、依存性をなくし、企業として強い意思を持ちコミットメントしていくことが重要だ」

今回お話された某社の、部長氏を始め経営層やマネジメントの強い意志がなければ、このプロジェクトはここまで成功しなかっただろう。
 
この新業務プロセスは、この10月1日から実施される。この某社の『すごい』ところは、まず、業務プロセスを作り、この業務プロセスに合わせた新しい IT システムは、これから作るということだ。いまでも、この業務のためのシステムはあるわけで、この新業務プロセスを実施して、手直しをしてから、ITシステムを構築しようということだ。かなり大規模なものになるだろうと予想されていた。
 
あと、ITR 浅利氏やBPM 協会横川氏からは、ポリシーやルールを確実に決める事の重要性や、経営情報の鮮度は KPI にかかっている、ビジネス・パフォーマンスを確実に把握していく重要性などの指摘があった。
 
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企業において、大きな改善を推進していくことは、並大抵のことではない。すでに、確立されているプロセスをまったく新しくすることは、企業にいる経営層にも従業員にも、大きなストレスとなる。
 
以前良く行われていた TQC でも、(私はTQC活動を実際やっていたけれど)問題点は挙げていくが、実際に改善するのはその中で、パレートの法則にしたがって、全体の80%に効果のある、20% の部分だけだ。しかも、たいがい、やりやすい部分から始め、しかし話がなかなかまとまらず、結局のところ中途半端な活動報告をして終わっていた。
 
結局は、ツールや方法論ではなく、強い意志だけが、改善をやり遂げる唯一の手段なのだろうと思う。その意味で、この某社の関係各位の努力には、ほんとうに感銘した。

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