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DeepTechの社会や産業へのインパクト

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IDCは2024年2月9日、IDC Emerging TechnologiesチームによるヨーロッパのDeepTechの可能性について調査を公表しました。IDCの内容を基に、DeepTechについて少し解説したいと思います。

Transforming Industries and Addressing Global Challenges: The Rise of DeepTech

DeepTechとは?

IDCはDeepTechを「科学技術の革新に基づいた社会的課題への対応を主な目的とした先進技術の領域」と定義しています。

DeepTechの特徴は、単に既存の製品やサービスを改善するのではなく、根本的な科学的・技術的問題を解決し、それによって新たな市場を創出したり、既存の市場を根底から変える可能性がある点です。

これらの技術は、深い専門知識や長期的な研究開発が必要とされ、そのため、革新的なソリューションを提供するスタートアップや企業にとっては、高い障壁となることもあります。

しかし、その革新性と社会への影響の大きさから、DeepTechは投資家や政策立案者からも注目されており、持続可能な開発目標(SDGs)の達成や、医療、エネルギー、環境などの分野での課題解決に向けた重要な鍵と見なされています。

技術進化が急速に進む現代において、DeepTechの台頭は産業を再形成し、国連持続可能な開発目標(SDGs)の達成に大きく貢献することが期待されています。

DeepTechは、従来の利益追求を超え、医療、持続可能性、交通などさまざまな分野で複雑なグローバル課題に取り組むことを目指しています。

これらの技術は、国連SDGsとの整合性を保ちながら、現在の技術開発の限界を押し広げ、深い社会的なインパクトをもたらす可能性があります。

DeepTechを構成するテクノロジーと適用領域

IDCによると、DeepTechには、先進的な知能(AI、人間と機械のインターフェース、群知能)、次世代コンピューティング(量子コンピューティング、ニューロモルフィックコンピューティング)、人間拡張(ロボティクス、XR技術とデバイス)など、さまざまな先進技術を含めています。

これらの技術はまだ初期段階にあるものの、産業を革命化し、全世界の生活の質を向上させる莫大な可能性を秘めています。

開発と採用に伴うさまざまな課題はありますが、DeepTechソリューションは、自動運転車や電気自動車、先進的なバッテリー技術、次世代農業、炭素捕捉技術など、さまざまな分野で変革の可能性を認識している業界から関心を集めています。

今後の展望

欧州委員会や欧州投資銀行、国連などの欧州機関は、DeepTechイニシアティブを支持し、Horizon 2020やDeepTech4Goodなどのプログラムを通じ、これらの機関はDeepTechソリューションの開発と展開を支援を強化しています。

DeepTechのポテンシャルを引き出すためには、投資家、政策立案者、企業組織の堅固なエコシステムが不可欠となっています。欧州イノベーション評議会ファンドやさまざまな国家基金などのイニシアティブは、DeepTechスタートアップに財政支援を提供し、成長と成功を確実にする上で重要な役割を果たしていくとしています。

DeepTechは、技術革新の大きなパラダイムシフトとなり、新しいビジネス創造を促すことで新たな収益機会を獲得するととともに、山積するさまざまな社会課題に対応する役割として期待がますます高まっていくでしょう。

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