国内キャリアMECサービス市場、2027年には138億円の市場規模に
IDC Japan は2023年10月12日、「国内キャリアMEC(Multi-Access Edge Computing)サービス市場予測」を発表しました。
IDCでは、2027年のキャリアMECサービス市場の市場規模を138億円、2022年~2027年の年間平均成長率を69.6%と予測しています。
IDCでは、MECとは、デバイスの近傍にサーバーやストレージなどのインフラストラクチャを分散配置することによって、データ処理のレスポンスを早め、通信の最適化や高速化が可能になる技術を指しています。
今回の市場予測は、その中で、通信事業者のモバイル通信網と直結した形で提供される、法人向けおよび個人向けMECサービスにおける、インフラストラクチャ(IaaS)およびアプリケーション実行用のプラットフォーム(PaaS)相当分を対象としています。
現在、国内では、NTTドコモによる「docomo MEC」、AWSとKDDIによる「AWS Wavelength」、ソフトバンクの「5G MEC」などのキャリアMECサービスが提供されており、主なユースケースとして、スマートファクトリー、機械やロボットの遠隔操作、高精細映像伝送、AR/VRによる仮想空間表現や空間シミュレーション、自動運転、ゲームやメタバースなどが挙げています。
IDCでは、キャリアMECサービスは、今後、高度なデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進、デジタルツインの構築、自動運転などに不可欠な技術になると、はみています。
IDCでは、同サービスの活用によって、膨大なデータをその生成場所に近いところで処理したり、低遅延でフィードバックを返したりといったことが可能になるとしています。ただし、現時点では、同市場はまだ揺籃期であり、今後5年間(本調査での予測期間、2023年~2027年)で急速に成長するものの、活用が本格化するのは、本調査での予測期間より後になると予測しています。
今後のキャリアMEC市場の見通しを考える上で、重要なポイントを3つあげています。
1つは、キャリアMECサービス、5G SAネットワーク、そしてキャリアMECのアプリケーションについての、技術面でのさらなる高度化と十分な実用性の提供です。
2つ目は、投資対効果の不確実性も大きな課題として挙げています。キャリアMECを多拠点に展開するには多額のコストがかかる一方で、キャリアMECで処理するデータがどれだけの価値を創出できるかの予測は困難としています。
3つ目は、クラウドや他のエッジコンピューティングとの競合とシームレス連携による相乗効果です。
出典:IDC Japan 国内キャリアMEC(Multi-Access Edge Computing)サービス市場予測 2023.10