COVID-19の感染拡大によるDX推進への影響
調査会社のIDC Japanは2020年12月7日、「国内企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)動向調査結果」を発表しました。
IDCの調査によると、DXを推進している国内企業は、ビジネス戦略とDX戦略の両戦略の長期的、全体的な連携を強め、業務のあらゆる面においてデジタル技術を活用し変革しようという意識が強いという結果となっています。
COVID-19の感染拡大によるDX推進への影響
出所:IDC Japan 2020.12
IDCによると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がDXに与えた影響については、DX推進の大きな阻害要因になっておらず、限定的なものとなっています。
回答企業のうち7割近くが、DXの領域、予算、体制が拡大した、優先順位の変化や取捨選択はあるが継続する、「COVID-19以前」と変わらず推進する、と回答しています。
また、COVID-19の感染拡大はDXの推進企業では、働き方の見直しに加え、社内業務プロセスの見直しや、データや情報の活用を行おうと考える企業も多いという調査結果となっており、COVID-19は、DXを通じた新たな企業の形を作り出すことにつながっているとしています。
2020年の国内企業のDXへの取り組み状況については、「DXを企業戦略と全体的、長期的に連携させている企業(戦略一致企業)」が前年同調査と比較して8.1ポイント増の51.5%となっています。
DXに実際取り組んでいる企業にとって、ビジネス戦略とDX戦略を一致させることは「当然」となっています。
「DXを企業戦略と全体的、長期的に連携させている企業(戦略一致企業)」と「DXを企業戦略と部分的、短期的に連携させている企業(戦略分離企業)」との比較で、DXの優先度を聞いた質問では、戦略一致企業は、「ビジネスの継続性」、「人材の卓越性」、「業務の卓越性」、「顧客体験」などあらゆる項目で戦略分離企業よりも回答率が高い状況となっています。
戦略一致企業が、業務のあらゆる面においてデジタル技術を活用し、変革しようという意識が強いものと、指摘しています。
DXをビジネスの変革と正しくとらえ、ビジネス戦略とDX戦略の一体化を図る企業は増加しています。その一方、中長期的なDXロードマップの不在や、既存基幹ITシステムとDXシステムとの連携不足は、真の変革を実現する際の阻害要因になる可能性もあるとも指摘しています。
IDC Japan ITサービス リサーチマネージャーの山口 平八郎 は
新型コロナウイルスは、社会、企業、顧客とのかかわり、働き方を将来にわたって大きく変えていく。国内企業は、『コロナ後』の社会変化を見据え、今一度自社が目指すべきDXの方向性と、それを実現するための社内組織体制、インフラ、人材、業務プロセスの見直しを図るべきである
と分析しています。
ビジネス戦略とDX戦略とは一体となった取り組みが重要となっています。人と組織も含めたDXの推進が求められていくでしょう。