「自動車関連情報の利活用に関する将来ビジョン」について
国土交通省は2015年1月23日、「自動車関連情報の利活用に関する将来ビジョン」を公表しました。
国土交通省では2014年2月から「自動車関連情報の利活用に関する将来ビジョン検討会」を設置し、保有する検査登録情報(所有者情報等)、車両の位置・速度情報や事故・整備履歴情報などの「自動車関連情報の利活用による新サービスの創出・産業革新」や ITを活用した「自動車関連手続きの更なる利用環境の向上」の2つの視点から検討をしてきています。
現在、日本では自動車に関連した膨大なデータが、個別でバラバラで保有しているため、利活用が進んでいない状況です。一方、諸外国では、すでに自動車情報を利活用した保険サービスや、自動車履歴情報の提供などの多様なサービス展開が進んでいて、日本においても、ITを活用した自動車関連分野のイノベーションを促進していくべきとしています。
出所:国土交通省 自動車関連情報の利活用に関する将来ビジョン 2015.1
本検討会では、以下の4つを重点テーマとして位置づけています。
- テレマティクス等を活用した安全運転促進保険による事故の削減
- 「安全OBDに対応したスキャンツールの共通化」を通じた次世代車両等の安全使用の推進
- 自動車の履歴情報を収集・活用したトレーサビリティー・サービスの展開による自動車流通市場の活性化
- 検査と整備の相関分析等を通じた検査・整備の高度化・効率化
4つの重点のテーマの一つのうち、一つ整理してみたいと思います。
「「安全OBDに対応したスキャンツールの共通化」を通じた次世代車両等の安全使用の推進」では、OBDⅡポートから収集される車間距離センサ、ドライバーモニタリングセンサ、ステアリング舵角センサ、スピードセンサなどの自動車特有の「制御データ」があります。
このOBDⅡポートに接続して、データをスキャンして故障診断などへの対応が共通されていないことから、これらの共通化・統一化を進めることで、どこの整備向上においても正確かつ迅速な故障診断を可能にするこおで、自動車の安全使用の推進および整備業界のサービス向上や活性化につなげていくとしています。
出所:国土交通省 自動車関連情報の利活用に関する将来ビジョン 2015.1
制御データのビジネス活用では、「コネクテッドカーと自動運転技術が作る未来(前編)」でもとりあげましたが、中古車販売のガリバーがそのデータを活用し、クルマとの双方向コミュニケーションサービス「Drive+」を提供しています。Drive+は、クルマの位置情報のほか、バッテリー電圧異常を自動検知してアラートを送信するバッテリアラート機能なども提供可能です。
OBDⅡポートから収集されるデータは、さまざまなビジネスの可能性があり、ガリバーのような新たな利活用モデルの展開が期待されるところです。