テスラのCEO、残念なレビューを書いた記者を猛攻撃
今日は朝から米国のWeb界隈がテスラ・モーターズの話題でもちきりなので、どうしたんだろうと思ったら、かいつまむとこんな↓話でした。
まず、2月10日の日曜日にNew York Times(NYT)の記者、ジョン・ブローダー氏がテスラに持ち掛けられて、同社の電気自動車用高速バッテリーチャージスタンドのレビューを書きました。実際にかっこいいスポーツカー「Tesla Model S」を借りて、途中でスタンドで充電しながら長距離ドライブするという企画。で、やってみたところ、途中でうまくチャージできなくて、しまいには車が自主的にシャットダウンしてしまい、車輌運搬車で回収という残念な結果になった、という内容です。3ページにわたる力作。
それに対し、テスラの会長兼CEOのイーロン・マスク氏が、11日にTwitterで「NYTimes article about Tesla range in cold is fake.(NYTの記事は偽物)」とツイート。
13日にはテスラの公式ブログで、ブローダー氏のレビューの“不正確な”部分を9カ所ピックアップして指摘し、ブローダー氏はそもそも電気自動車に否定的なんだと、ジャーナリストがやってはいけない偏見の色眼鏡で書いたレビューだと言わんばかりの指摘をしました。
しかも、ブローダー氏に貸したTesla Sのログデータを“証拠”として公開し、レビューとの矛盾点を細かく説明しています。「事実が彼の意見と一致しないということは、彼が事実をねじまげたということだ。われわれはNYTに、この記事を調査し、真実を究明してほしいと求めている」と結んでます。
これに対し、今度はブローダー氏が14日、NYTのブログで、マスク氏の反論にさらに反論。これがまた、指摘された9カ所に丁寧に1つずつ反論しています。
NYTからテスラへの回答はまだないようなので、話はまだしばらく続きそうです。
レビューと反論、それへの反論も読んでみたんですが、私はブローダー氏が事実をゆがめているようには読めませんでした。きっちり指示通りにチャージしなかったのは本当ですが、そんなにきっちりチャージしないと長距離ドライブができないとしたら、実際、電気自動車はまだ長距離ドライブには向いてないってことなんじゃないかなと思います(一般人がそう思うことがマスク氏には我慢できなかったのかもしれませんが)。
それよりも、テスラがブローダー氏に知らせずに車のログをとっていたことの方に抵抗を感じます。もしかして、販売した車のログも全部とってるんでしょうか。これまた新しい個人情報問題の種になりそうです。【追記】海外速報部のFacebookページで、「日本でも電気自動車は24時間センターと常時接続して情報を送信しているそうです。」というコメントをいただきました。ありがとうございます。
もしかすると、車業界とIT業界(マスク氏はPayPalの前身、X.comの創業者)との文化の違いにも問題があるのかもしれません。でも、今後どんどん2つの業界は近づくわけで、車評論家も苦労しそうです。
【追記2】レビュー記事と同じコースを同じようにたどって「余裕で走れるじゃん」とリポートするテスラファンが出てきました。CNNもテスラを支持する記事を掲載。