Apple対Samsung裁判、負けても得したのはSamsungっぽい
日本の土曜日に評決が出て、まいっちゃいました。取り急ぎの速報を掲載してお出かけしているうちに詳細記事がロイタージャパンから出ていたので、詳しくはそちらをどうぞという感じです。
この裁判、あまりにいろんな要素が詰め込まれていて、どこから考えればいいのやら私の小さな脳味噌には負担が大きいです。でもなんとなく分かるのは、スコアカード的にはAppleの大勝利であっても、AppleにとってもAndroid陣営にとってもあまりいい話じゃなくて、Samsungが一番得したんじゃないかなということ。
評決ではSamsungがAppleのまねっこということは認められて、AppleがSamsungの特許を侵害しているというのは認められませんでした。Apple側が完全にシロというのは、両社にとって面倒なことになったと思います。
Apple側も侵害してるよ、ということになれば、和解しやすかったかもだからです。ジョブズはSamsung(というかAndroid)を徹底的に叩き潰すつもりだったかもしれませんが、ティム・クックCEOはクロスライセンス契約で和解しようと思ってるはずなので(Samsungが潰れちゃったら部品を仕入れてるAppleも困る)。
Samsungにとって、10億ドルの賠償金(陪審団はSamsungが一部のまねっこを意図的にやったとしているので、ルーシー・コー判事がそれを認めれば最高で30億ドルになる可能性もあり)は大した額ではありません。同社の4~6月期決算の売上高は約418億ドルでした。
次のステップである、Samsung製品を米国で販売差し止めするかどうか(9月20日にヒアリング)で、もし対象製品のすべてが差し止めになっても、「GALAXY S III」とか「GALAXY Note」とかの最新モデルは対象じゃないので、Samsungにとってこれも決定的な打撃ではないです。
むしろ、この裁判で「Samsungって、あのすごいAppleのライバルなんだー」という印象がついたことは(たとえ猿まねメーカーというレッテルが貼られても)、Samsungにとってメリットかもです。【UPDATE】これについては否定的なご指摘をいただいておりますので、下のコメント欄をあわせてお読みいただきたく。
困るのはSamsungほどお金持ちじゃないAndroidメーカーたち。私の好きなHTCとか、Motorola(Google子会社だからお金持ちといえばそうだけど)とかLGとか(HTCとMotorolaはAppleと係争中)。そしてもちろん、代理戦争してもらってる親玉のGoogleも。
まねっこだと言われないようなすごい製品にして、特許についてはちゃんとライセンス料を払えばいいんですけどね。言うは易しでイバラの道です。
それにしても裁判の話は難しくて複雑で全然楽しくないので、早く一連のApple対Google戦争が終わりますように。サンノゼの裁判もまだ終わったわけではないし、Samsungは当然控訴するだろうし、他の国での訴訟も続いていますが。海外速報担当者としては、独創的な新サービスとか、かっこいい新製品を紹介するような記事を書きたいです。