マスターカード買収による英国銀行間決済サービスのオープン化
英国の全銀ネットワークにあたるボーカリンク(Vocalink)をマスターカードが買収したよ!!
18銀行が参加している銀行間ネットワークだよ・・・
英国当局は銀行ネットワークのオープン化を狙ってるんだってさ・・。
てことは・・・超ナロウバンキングの免許とれば、ペイパルやアリペイも参加できるのぉおお !!?
直接、アリペイからペイパルに送金できるじゃん・・銀行口座すっ飛ばして・・・
<出所 マスターカード >
米国のマスターカードが英国銀行18行(Barclays Bank, Royal Bank of Scotland, Lloyds や HSBCなど18銀行参加)が運営するクリアリングハウスのボーカリンク(Vocalink)を920億ドルで買収しました。(クリプトンのボーカロイドと間違えないでください)
異なる銀行間での口座間のお金の送金は日本では全銀ネット(全国銀行資金決済ネットワーク)で実施されています。一方ロンドンではボーカリンクは、英国全体の銀行決済の過半数を占めています。リアルタイムの送金と共に同時にATMネットワークも管理しています。現在、規制当局の許可待ちです。
売却の背景には英国金融当局の競争重視、オープン化戦略による売却圧力があります。
■ マスターカードの決意、P2MからP2Pへ
銀行業界の外に銀行間決済サービスを売却させた英国金融当局の意図もすごいですが、買収したマスターカードにも戦略があります。
1) VISAカードの追撃
英国内ではカードビジネスのシェアはVISAカードが圧倒的であり、マスターカードは5%程度とマイナーです。18もの銀行と関係が持てるため、英国市場での巻き返しが図れます。
2) P2Pビジネスへの進出
マスターカードのCEOが明確に述べていますが「従来のカードビジネスはP2M(個人による買い物決済、マーチャントへの支払い)」でした。一方フィンテックの時代になりVenmo(学生間の割り勘用個人送金サービス、ペイパルが買収)のようなP2Pのペイメントサービスがクレジットカードの魅力を蹴散らしています。
そこでマスターカードはマスターカード・ペイパスウオレットなどのサーバー型電子マネー(リローダブルプリペイドカード)などを広めようとしています。
■ 英国のフィンテック決済は超ナロウバンキング、オープン化へ
日本では銀行法と資金決済法があり、フィンテック事業者のサービスは資金決済法の下で実施されます。一方欧州では英国も含めて全て銀行免許の下で実施されます。Venmoのような超ナロウバンキングは、英国ではアプリバンクと呼ばれています。
そこでマスターカードも早晩、英国で超ナロウバンキングの免許を取り、Vocalinkに参加するのでしょう。そして同じことをシンガポールなどのアジアや米国でもするかもしれません。
将来はペイパルやアリペイなどが英国でVocalinkに参加するのでしょうか。そうなればペイパルからアリペイへの送金は、英国では銀行決済ネットワークにより、銀行口座を飛ばして直接、実施されるのかもしれません。
★★Why Mastercard Bought VocaLink for $920 Million