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ドイツ自動車連合のノキア地図Here買収とグーグル、アップルカー対抗に見るソフトウエアエンジニアの奴隷解放

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 既に自動車産業の将来を見据えた買収合戦は自動車の中ではありません。また販売店網を抑える戦いでもありません。

戦いはクラウドと呼ばれるいわば空の戦いです。その制空権を誰が抑えるかです。

その中にノキア地図サービスHereがありました・・・

 ほら、空から地上を見たような3D地図ですね・・^^

150803nokia-here.jpg

<出所 ギズモード>

 ノキアの地図Hereを伝統自動車業界が抑えないと・・・まずテレマテイックス市場で以下のような予測が現実になります・・・・ 

うーむ アンドロイドとアップルばっかりじゃん@@ これはとんでもないことだ!! (伝統自動車屋さんのつぶやき)

The mapping service can be used to develop a connected car infotainment system to compete with Apple's CarPlay

  ノキアとしては ドイツ3社連合に売ることにしたよ!! 一番高い値段を提示してくれたもん・・・

 <出所 ビジネスインサイダー >

 そればかりではありません・・・将来の自動運転はクラウド上の地図を見ながらAIが判断します・・・

 つまり自動車の外の力が自動車を自動で動かすのですよ!!

 やーい、やーい、 車屋は単なる端末屋に 追い詰められたぞう!! その内誰でも車なんか作れる時代が来るね ^^ (IT屋さんのつぶやき)

 とんでもないことだ・・・・・伝統あるドイツの自動車業界の名誉にかけて正当なる自動車文化を守らねば・・・        (伝統自動車屋さんのつぶやき

 IT業界なんか・・・・大手企業の下請けで基幹系のSIシステム作ってればいいんだ!! (うーん、 IT業界にとっては自動車産業の乗っ取りは、リンカーンの奴隷解放反対みたいな 雄叫びでしょうか・・・地位向上運動ですね・・)  (伝統自動車屋さんのつぶやき

伝統自動車業界とIT業界(グーグルやアップル、Uberなどなど)の間で・・・激しい 戦いが始まっています どうも こんなイメージの心象心理が浮かんできます・・・・

 ダイムラーが米国ネバタ州で5月に開始した トラックの自動運転です  地図のHereの利用は条件になっています。

Spooked by Self-Driving Cars? Get a Load of Daimler's Awesome Autonomous Big Rig.

<出所 http://www.entrepreneur.com/  >

Freightliner Autonomous Driving Inspiration Truck(動画)

Daimler's Self Driving Truck Nevada Worlds First Licensed Autonomous Freightliner Inspiration CARJAM(動画)

Mercedes Self Driving Truck Driving Itself Mercedes Future Truck 2025 Commercial CARJAM TV 4K 2015(動画)

Nokia sells HERE unit to German carmakers for $2.74 billion(cnn放送)

 ノキアから売りに出されていた地図Hereのサービスは結局ドイツ三社連合が30.7億ドルで競り落としました。中国のバイドウやテンセント、Uber、アップルまで参加したと言われている買収劇ですが、勝ったのはドイツの伝統的自動車産業連合3社(BMW、メルセデス、ダイムラー)でした。ノキア地図Hereも元々は2007年に米国ITスタートアップ企業(NAVTEQ)のサービスを買収しています。2012年にHereに名前が変更されています。

ドイツに限らず伝統自動車企業はインターネット関連の地道な取り組みが弱いのは明らかです。その結果、自動車がインターネットに繋がる時代には、伝統自動車メーカーは「単なる端末屋」の立場に貶められるリスクがあります。IoTの時代には地図に基づく自動運転などはクラウド側(サーバー側)に移行します。そうなれば、車がコンピューターに手足が付いたものに変わった場合、AI的な指令はクラウド側から来ます。従って今回のノキア地図Here買収合戦はクラウド側のアプリケーションと地図データを誰が抑えるかと言う戦いでした。クラウド側に強いアップル、グーグル、Uberなどと端末としての自動車に強い伝統自動車メーカーの綱引きと言う見方が色濃く出ています。(重要な点は元々Hereは米国のITスタートアップ企業(NAVTEQ)の作品、伝統自動車産業の発想ではない)

■ まずは自動運転以前のテレマテイックスの勝負

CNN放送などが典型ですが、ドイツ3社はグーグルマップやグーグルカー、アップルカーなどの先端IT業界の動きを相当恐れていたと語られ始めています。それも自動運転以前のテレマテイックス(走行中の自動車への娯楽や連絡、レストランや石油スタンドなどのナビサービス)に地図サービスが有効な為でした。ノキア地図Hereを手に入れることが出来なければ、ドイツ自動車連合はグーグルマップなどのアンドロイドオートやアップルのカープレイに翻弄されると恐れていました。

■ ダイムラーが開始するネバタ州、トラック自動運転実験

2015年5月にダイムラーは米国ネバタ州でトラックの自動運転の許可(2台に与えられた)を取得しています。これはグーグルやアウデイなどの都市部の自動運転実験と大分様相が異なります。それをCNN放送が詳しく伝えています。ハイウエーパイロットシステムですね。完全な自動運転ではなくセミオートマテイックですが。

最初はトラックに人が載っており、走行が安定すると航空機の自動運転と同じようにオートマティックシステムがテークオーバーします。これにより自動車の運転手による事故の90%を防ぎます。(運転ミス、居眠りなどが原因)また車の状況を監視し、部品の交換や燃料代の節約も実施します。この全体をスムースに実現する為には「地図Hereのサービス」が必須だと報じています。今後はサイドミラーなどはカメラとモニターに化けます。そして将来は先頭のトラックにだけ運転手が乗り、後ろに続く数台のトラックは無人の貨車のようになります。

さて日本の自動車業界はどうするんでしょうか? ドイツ連合から買うんでしょうか?

■ IT業界、ソフトウエアエンジニアの奴隷解放の戦いか?

 ところで・・・・

IoTによるIT業界、ソフトウエアエンジニアの地位向上は、米国南北戦争時代の奴隷解放の戦いにある意味で似ています。従来、他の業界の下請けとして基幹系システムを何の創造性も無いウオーターフォール型の開発で作らされてきた企業内の二流市民である、ソフトウエアエンジニアや外注のIT業界が自動車産業などを乗っ取る可能性が出て来たと言うのは、IT業界、ソフトウエアエンジニアの社会的地位の向上に大きな影響を及ぼしそうです。ソフトウエアエンジニアの社会的地位の向上は伝統自動車産業が勝利しても当てはまりそうです。明治維新の時には武士の世界は滅びました。太平洋戦争後は日本陸軍は滅びました。そう言った社会的な階層の地殻変動がIT業界、ソフトウエアエンジニアに置き始めています。

★★German carmakers buy Nokia maps to fend off digital rivals

★★ Nokia Sells HERE Mapping Business To Group Of European Car Makers For $3.07B

★★ Why Germany's top auto companies just bought Nokia HERE for $3 billion

★★World premiere on U.S. highway: Daimler Trucks drives first autonomous truck on public roads

★★Daimler Autonomous Truck Has Huge Commercial Implications

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