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魅力のないアップルミュージック、規模の経済が支えるか

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 規模の経済で他社のサービスと比べて魅力のないアップルミュージックを消費者に押し付けるアップル戦略はきっと成功するのでしょうね・・・

<出所 テッククランチ>

 サービス自体に対して特徴も差もないので・・・・でもやっぱり別の要因で勝負が決まるのでしょうか・・・・

spotify itunes fight 2

<出所 ビジネスインサイダー>

 スポッティファイ6千万ユーザー(含む無料)に対してアップルミュージックは1億ユーザーを狙います。(アップルのiTunesには8億枚のクレジットカードが登録されています)尚、現在、全世界の月次有料音楽サービス(有料音楽ストリーミングサービス)の顧客は4千百万人に上ります。また2014年音楽のダウンロード販売は8%減少し36億ドルに、一方月次の有料音楽サービスは39%増加し16億ドルになっています。スポッテイファイは米国内で470万有料顧客を有し、一方アップルミュージックの前身のBeats Musicは30万3千顧客しかいませんでした。

しかし何しろ2015年対一四半期には米国内で6千百万個のiPhoneを販売したアップルです。(後で述べますが一昔前はあまり注目されていなかったアップルの規模の経済が注目です。)

アップルミュージックはBeats Musicを基にした月額9.99ドルの有料部分、iTunesラジオを引き継いだ広告による無料ラジオ、音楽家とのSNSであるコネクトから成り立っています。しかし一般的に見てファミリー割引(6人まで)の料金月額14.99ドル以外には他社のサービスとの比較で大して特徴的な魅力がないと言うのが一般的な評価のようです。

ここで考えるべきは何故「音楽サービスに規模の経済」が問われるのかと言う点と何故音楽ダウンロード販売ではなく、月次ストリーミング販売なのかと言う二点です。

■ 規模の経済を狙う戦略

しかしスポッティファイやTidalなど他社のサービスと比べて特に特徴があるわけでもないが、劣っているわけでもありません。面白いのはSony Music CEO のDoug Morrisさんの見方では「アップルの特徴は8億枚のクレジットカードと1780億ドルのキャッシュを銀行に持っている。そしてアップルミュージックに対して大変な宣伝をするだろう。お金の無いスポッティファイにはそんなことは全くできなかった。アップルの宣伝は消費者に大きな影響力がある。」と言っています。「アップルのエコシステムと規模の経済を背景としたアップルミュージックは、圧倒的な宣伝を背景に一定のマーケットシェアを確保するだろう。そしてそれは有料での音楽ストリーミングサービス全体の市場パイを拡大する可能性がある。そうなれば今はさえないTidalも浮上する可能性がある」と言う見方です。

IoT時代の入り口で従来からのIOSと言うプラットフォーム戦略に規模の経済を掛け合わせる状況ができました。特に米国ではiPhoneの市場シェアは40%を超えています。

iTunesによるiPodを対象とした音楽販売は、非常にとんがったサービスでした。(しかしアップルの規模の経済効果などは背景にありませんでした)それに比べて今回のアップルミュージックは特に先端的なインパクトはありません。しかし新たに規模の経済を背景とするアップルの動きを加えれば大きなインパクトがあります。

■ 何故音楽ストリーミングサービスか?

ムーアの法則を背景として進むIoTの特徴はアウトカム経済(モノ支配論理からサービス支配論理への移行、所有からサービスの結果に対する支払への移行)が特徴です。回線スピードも格段に速くなった現在、音楽を一曲ごとに買うiTunesは中世の所有型ビジネスモデルであり、やはり結果に対して支払うストリーミングによる音楽サービスへの移行が始まっています。iTunesの売り上げ減を肌で感じているアップルはこれに乗り遅れまいと必死です。何故ならその遅れはiPhone自体の売り上げ減に繋がります。

■ アンドロイドからの買い替えを狙うアップルミュージック

アップルの戦略は音楽ストリーミングサービスと言うサービス支配論理によりスマートハードウエア機器群を囲い込み販売、継続販売するビジネスモデルです。今回は音楽ストリーミングサービスによりアンドロイド顧客を引き寄せ、iPhoneにひっくり返す戦略と言う見方が強いです。

それにしても・・・遂に規模の経済まで抑えたアップルのプラットフォーム戦略がサービスの多様性を確保し、顧客を囲い込むシナリオが有効なようです。

■ やっぱりジョブズさんの時代は良かった

今回のWWDC2015は「明らかにロゴメッセージでアップルテレビを示唆した」にも関わらず、アップルはそれを出しませんでした。そして一言もありません。まあ生活者の気持ちを十分理解しているジョブズさんならこんなことはしかなったでしょう。規模の経済を追いかけるアップルも少し大企業病に陥っている気がします。

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