米国FCCインターネット中立化新提案は骨太い
いよいよ天の時が来た・・・いまこそネット中立化の正義の旗を振ろう!!
FCCのトム・ウイーラーさん
機が熟したのだ!! 潮時ともいう・・・
・・(あの 最近では、それ・・エコシステムって言うんですが・・^^)
Alex Wong/Getty Images
<出所: ビジネスインサイダー>
米国FCC(連邦通信委員会)は通信、放送行政を司る役所であり、日本の総務省に相当します。一方FCCは政府から独立した日銀のような機関です。
そのFCCが遂に懸案のインターネット中立化に関する新施策提案を出してきました。2014年に最高裁で否決されたネット中立性規則を復活させる提案 です。
ギガオム紙はその特徴を以下のようにまとめています。
No blocking(ブロックしない)
No throttling(対象をしぼる差別をしない)
No paid prioritization(グリーン車のグリーン料金のような追加支払いによる優先順位を付けない)
インターネット事業者を電話事業者同様の公共事業と認定し、電話事業者と同じように取り扱うというものです。ネットフリックスやYouTubeなどにISP事業者が適用している当然差別的な取扱いは出来なくなります。これは有線(ブロードバンド)と無線(スマートフォンなど携帯系の通信事業)共に適用されます。ネットフリックスなどシリコンバレーは大喜びです。当然、放送事業者とインターネット事業者の関係も同じとみなされる方向にあります。
インターネット事業者に1934年以来の通信法のTitle IIに基づく規定を適応すると言う新施策提案だというわけです。なお、その最新の法律は1996年の通信法です。(Title II of the 1996 Communication Act and the Sec. 706 authority)
2015年2月26日にFCCの委員会で新施策提案の投票が行われますが、3対2位で可決される見込みです。FCCは政府からの独立委員会ですので、これで実施が決まります。
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スマートテレビを含むIoT対策
先日FCCはブロードバンドの定義を従来の下り3メガから下り25メガに変更しました。そして今回のネット中立化施策提案に至ったわけです。次は同様にスマーテレビ対策として「番組提供義務」のインターネット拡大でしょう。
インターネット中立化提案によりインターネット上でネットフリックスのようなサービス実施上の差別を禁止します。同じ文脈でその次に実施するとFCCが宣言しているのは、ハリウッドなどの番組保有者に対する、インターネット事業者への番組提供の差別禁止令です。(現在はアップルのようなインターネット事業者がCBSのドアを叩いて番組を買いたい(ネットで提供したい)と言ってもCBSには応じる義務はありません。しかしCATV業者や衛星事業者が要求した場合には、取引に応じる義務があります。これが番組提供義務です。だから日本のCATVでは米国の同じ番組を米国系の多数の異なるチャンネルで流しています)
ブロードバンドの定義のハードルを高くし、先進国の中で遅れた米国の通信事業者にムーアの法則の成果還元を促し、次にインターネット中立化実施でインターネットサービスと従来のサービスを同一の土俵上に置きます。
当然、放送と通信のFCCの動きはIoTにも大きな成長の道筋をつけます。そして世界の通信、放送行政に対する影響が非常に大きくなります。
■最高裁の動き
以前、ネット中立化を推し進めた結果、ベライゾンコミュニケーションなどとの訴訟において最高裁で敗北したFCCです。今回も既に多くの通信事業者がFCCに対するネット中立化潰しの訴訟(電話と同じに規制するのは時代遅れなどの主張)を準備しています。面白いのは前回の最高裁判決で「FCCにネット中立化=インターネットを管轄する権限はない。しかしTitle IIに基づく管理のシナリオならまた別の話だが・・」となっています。オバマ大統領に促されたFCCはこのシナリオで今回新施策提案を作りました。従って最高裁も安易に否定できません。
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議会の動き
確かに通信事業者やCATV事業者に支持された一部共和党議員からはFCCの新施策提案には批判の声が上がっています。当然、議会でも新法の策定の動きが出てくるでしょうが、過去の衛星放送や通信、通信事業者の放送参入などの経緯からして世界のフロンティアが大好きな米国においてそれほど保守的な新法が議会を通過するとは考えられません。
米国のインターネットのトラフィックの最大部分を占める動画の領域においてIoT時代に政府施策や法律が対応するための変化が本格的に始まっています。
★★The FCC's net neutrality proposal is awesome, but has a loophole
★★The FCC just delivered a big win for anyone who cares about the future of the internet