昔の音楽業界と同じ手法での金融業界攻略、アップルの凄さを見せつけたアップルペイ
アップルが電子決済に出ました・・・・まずはクレジットカードから・・・
<出所: アップルなど>
2014年9月9日のアップルの新製品発表で最もアップルらしい内容だったのは「アップルペイ」と呼ばれる支払いサービスへの進出だったと言う見方がもっぱらです。その訳は昔から「他人が作り上げたエコシステム上で最高の製品とサービスを届けるのがアップル」のコアコンピテンスだからです。アップルは突然、2.5センチ以内の非接触決済を行うNFCチップを入れて来ました。未だクレジットカードでの支払いが圧倒的な米国の消費ライフを置きかえるかもしれません。次は当然、サービス型のデビットカードにも進むでしょう。
米国証券会社各社は「iPhone 6」の売り上げ増を見越してアップルの目標株価を引き上げました。
■ 画期的なNFC支払システム、アップルペイ
日米のビジネス系各紙はアップルペイを絶賛しています。登録はカメラと簡単、指紋認証でデキュリティ確保、店にカード番号が渡らずと言う手続きの利便性、プライバシー面への配慮などこれまで考えられてきた最高のサービスだからです。スマートフォンをなくしても直接的なクレジットカード情報が入ってないのでクレジットカードの差し止めが不要です。これは消費者に強くアピールします。また「クレジットカード会社が支払保障さえしてくれれば良く、従業員がクレジット情報などを盗んで問題を起こす事のないサービス」は小売チェーン店に大きなアピール力があります。決済手数料を要求しない点もクレジットカード会社には大きく受けます。
■ 誰が受け入れたか
以下アップルのプレスリリースから拾ってみました。
これによりAmerican Express、MasterCard、Visa三大ネットワークを全て説得し、またBank of America、Capital One Bank、Chase、Citi、Wells Fargoを含む多くの主要な銀行によって発行されたクレジットカードおよびデビットカードと連携し、米国におけるクレジットカード購入額の83パーセン トをカバーしました。米国内のApple直営の258店舗を皮切りに、Bloomingdale’s、Disney StoreおよびWalt Disney World Resort、Duane Reade、Macy’s、McDonald’s、Sephora、Staples、Subway、Walgreens、Whole Foods Marketなど、米国内の有名小売チェーンでも使用が可能になる予定です。Apple Watchは、非接触方式の支払い方法に対応する全米に広がる220,000店以上の店舗で使われます。無論、アップストアなどにも対応します。
確かにこうなれば消費者にも安心な環境が出来ます。上記に見られるようにアップルの企業との交渉力は凄いです。一挙にグーグルウオレットやソフトカード(旧ISIS)を蹴散らし、ペイパルと並びます。
■ 昔の音楽業界対策とそっくりの交渉力の発揮
確かにクレジットカード会社から手数料を取らないと言う戦略もあり、グーグルウオレットの採用を拒み続けたアメリカンエクスプレスをも説得しています。(銀行からは少しもらうと言う見方がありますが)
ビジネス各紙には「グーグルウオレットは死んだ」(ユーロモニター紙、フォーブス紙)とまで言われ、ソフトカード(旧ISIS)などが中々普及しない中、ライバルとして名前が挙げられているのはNFCを使わないペイパルとスクエア位でした。
一方グーグルの努力によりアンドロイドやマイクロソフトフォンなどNFC搭載スマートフォンは普及し、それに対応してNFC決済機器も次第に普及してきています。但し、プライバシー面の不安などから全くグーグルウオレットは鳴かず飛ばずでした。それを「後付けNFCを出したアップルペイ」が全てかっさらった訳です。アップルは両者の間に橋をかけただけの話です。昔、音楽業界をアップルが説得してITunesストアを立ち上げた時、マイクロソフトは「どうやってあの保守的な音楽業界をアップルは説得したのか、信じられない」と言いました。それほどアップルの交渉力は凄かったのです。今回は対象が保守的な音楽業界から保守的な金融業界に変わっただけのことです。
仕組みとして見た場合、アップルペイがITunesストアに相当すると考えれば、成熟したエコシステムを見据えて、音楽業界を全て説得してITunesストアに参加させた時と同じような交渉力をアップルは発揮しました。一方グーグルは企業との交渉力があまり無く「グーグルテレビを出した時、一斉に全地上波に阻止された状況」と変っていないようです。エコシステムが出来ているにも関わらず「アメリカンエクスプレスに最後までノーを言われ続けたグーグル」と「一発で口説き落としたアップル」の交渉力の差でしょう。
<出所 グーグル>
■ アップルペイは「iPhone 6」の売り上げを伸ばすだろう
アップルペイは米国ではまだ初期段階にあるモバイル決済市場の起爆剤になる可能性があり、「iPhone 6」の売り上げを確実に伸ばすでしょう。またデビットカードであれ、クレジットカードであれ、決済はサービスとしてクラウドの口座上で振りかえられます。
一方NFCでも方式が異なる日本はどうするんでしょうか?また電子マネーを「カードの中のモノ」として扱っている日本のストアードバリュー方式の電子マネーは時代遅れになるのでしょうか?
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