スマート革命とショールーミング対策、ヤマダ電気のキンドル販売阻止、自社プライベートブランド・タブレット(Windows8)による囲い込み戦略は成功するか!!?
<序文>
2012年11月16日付け日経MJの記事ですが、家電量販店大手のヤマダ電機が遂にWindows8によるプライベートブランド・タブレットを出しました。ただ実際はタブレットと言うよりは、インテルパソコン版のWindows8機と言った内容です。しかし、早晩、Windows8のRT版のタブレットも出ると考えられます。キンドルファイアーに見られるように小売業が自社開発するプライベートブランド品は、一般に約三割―五割安いですが、今回も日経の調査では国内外の家電メーカー品よりも約3割安いようです。
マイクロソフトとヤマダ電機は仲がいいですから。
また17日付けの朝刊ではヤマダ電機やエディオンはキンドルシリーズの販売は先送りすると報道しています。その理由は米国のウオルマートやターゲットと同様にキンドルによるショールーミングを阻止する為です。キンドルが売れるとヤマダ電機の物理店舗の価格と他社によるネット通販の価格が比較され、米国ベストバイなどでは、物理店舗にマイナスの結果が出ました。
さてWindows8によるプライベートブランドの機種は2012年6月の日本経済新聞に山田会長のインタビュー付きで予告されていたものです。流石に一部の鋭い識者は「ヤマダ電機のアマゾンや楽天対抗戦略!!」と言う視点でブログを書かれていました。
プライベートブランド機器に独自のアプリを積み、顧客を会員クラブに囲い込んで自社通販サイトや物理店舗に誘導する戦略ですね。当然、アマゾンへの囲い込みを狙うキンドルは販売しません。
店で品見て家で買うと言うショッピングはショールーミングと言われ、米国では、家電量販店のサーキットシティが倒産し、ベルトバイも売り上げ縮小の為、リストラなどを実施しています。勿論、伸びているのはアマゾンなどネット勢力です。同じ波が日本にも来る前に手を打とうと言うのが山田会長の戦略です。
こうして次第にアップルストアのようにお店にWiFiを設置するスマートストアの時代が来ようとしています。
筆者も書籍「ゼロから学ぶスマート革命」に本件は詳しく書いていますが、実際に実行され始めました。
果たしてヤマダ電機のキンドル販売阻止、自社製タブレット販売と言うショールーミング対策は成功するのでしょうか?
★★ アマゾン「キンドル」、ヤマダなど販売見送り
通販への顧客流出防ぐ
★★ 日経記事;"ヤマダ、PBで割安タブレット 通販サイトに誘導"考察
<子会社が開発、独自のアプリと会員制度と連動>
ヤマダ電機はWindows8によるプライベートブランド機の販売開始と共に独自のアプリとそれに対応した「ヤマダ電機マルチSNS」の提供を開始し、ヤマダ電機の人気商品のレビューや評価、ランキングを提供しています。ヤマダ電機の通販サイトから商品の購入も出来ます。既にスマートフォンにアプリを提供しているソーシャルゲームと写真共有サービスと連動させる方針です。
またWindows8によるプライベートブランド機の開発は、KOUJIROと言う子会社が実施し、生産も担当しています。ヤマダ電機はツーバイホーのエスバイエルを買収するなど製造小売業の道を進んでいます。
この戦略はモトローラ・モビリティを買収したグーグルや半導体企業を買収したアマゾンに良く似ています。スマート機器と会員制度とソフトウエアが支えるサービスを組み合わせ顧客を囲い込む戦略です。ヤマダ電機のショールーミングはネット通販と今後物理店舗が二つながら対象になると見られています。
<プライベートブランドによる囲い込みは異業種格闘技!!>
アマゾンや楽天もキンドルファイアやコボと言う一種のプライベートブランド機で顧客を囲い込む戦略を開始しています。アマゾンや楽天は電子書籍からメディア、更に通販に進み、一方ヤマダ電機はネット通販と物理店舗の連携=ショールーミングやO2Oから開始します。
アップルが開始したスマート機器の連合体への対抗策をヤマダ電機はプライベートブランドの家電機器として開始しました。早晩、通販関連やSNS関連の独自アプリを搭載したスマートテレビやWindows8のRT版のタブレットも品揃えに加えて行くのでしょう。
ゼロから学ぶスマート革命 [単行本]