スマート革命とサービス支配論理、何故ライン、カカオトーク、DeNAのcommが注目され、ミクシィやフェースブックが停滞するのか?
<序文>
筆者のアンドロイドスマートフォン(アンドロイド2.1)ではラインのアプリが使えないため、暫く非常に面白くない思いをしていたのですが、2012年11月号の宣伝会議に「スマートフォンとライン」に関する面白い調査が掲載されていました。(電通総研と東京大学の合同調査)
それによればスマートトンに乗り換えた中学生11人中11人、高校生12人中11人が男女を問わずソーシャルメディアとしてラインの利用率が圧倒的に高いと言う数字が出ています。ラインは国内で2500万―3000万人が利用していると発表されており、どんどん増えています。
調査対象の中学生、高校生にとって以下の理由がラインを使う動機なのだそうです。
1、 デフォルトでアプリが入っている。
2、 サインインと同時に電話番号を入れている友人と繋がる状態になる。
3、 無料で通話が可能。
4、 ミクシィやフェースブックよりも登録やアプリ立ち上げが簡便
5、 メール、メッセンジャー、呟き、写真交換、コミュニティなどのSNS機能が軽快に活用できる。
6、 文字を打たないで絵文字(スタンプなど)で気持ちを伝えることができる。
中学生や高校生に圧倒的に受けると言うことは心理学でいう「摺り込み」が働き、彼らのソーシャルメディア活用人生の方向を決めます。各化粧品会社が競って高校卒業直前の時期に自社化粧品の講習会を各高校で行うのと同じ理屈です。
なるほどミクシィやフェースブックが相対的に衰えたり、成長が停滞すると指摘されているのも納得のいく所です。
★★ 知らないとヤバイ!『カカオトーク』『LINE』『comm』の退会方法
ラインのスタンプショップ(有料)
<引用元:ライン>
<引用元:カカオトーク>
<カカオトークとcomm>
10月19日にヤフーが『カカオトーク』への出資を発表し、それから数日後の10月23日、DeNAがスマホ無料通話アプリ『comm』(コムと発音します)のサービスを開始しています。これまで一人勝ちしていたラインのライバルが揃いました。
<ラインはSNS以前の毛繕いの復活>
昔SNSが流行し始めた2004年ごろ、ケータイ(ガラケー)との比較でミクシィを調査したことがありました。その時の結論ではガラケーによる「対面での知り合いとの一種の毛繕い(じゃれあい)」が基本になって、その上にミクシィの穏やかなコミュニティが成立したというものでした。2004年当時は結構、ミクシィオフ会も盛んであり、対面での新しい物理的な出合いも多数ありました。
さてラインを見ていると昔のガラケーの物理的な近しい知り合いとのさしたる用事もないのに「どうしてる」といった風な「毛繕い」的な付き合いとフェースブック、ミクシィ的なSNS、更に無料電話が重なり合っての大人気だろうと思われます。特にSNSが実名化の流れの中でフェースブックにより、現実社会に定着する中、ガラケーの「毛繕い」との一体化は非常に時期を得たものだったと考えられます。スマート革命(ポストPCコンピューティング)は面白いですね。
<サービス支配論理でラインが圧倒、ライバルサービスが続けるか?>
さて一人一台のパソコンから一人が七台のスマートデバイスを活用するスマート革命(ポストPCコンピューティング)の時代にあって、デバイスの性能よりもパソコンを含むスマートデバイスやサービスの仕組みの使い勝手が圧倒的に重視され始めています。これはサービス支配論理と呼ばれるものです。ツイッターのような文字ではなく、写真投稿のインスタグラムやピンテレストがフェースブック上での人気ナンバーワンであり、米国でフェースブックのスマートデバイス上のアプリ対応が遅れた為、一部の大学ではフェースブック本体を学生がまったく使わないと言う状況が言われ始めた点も同じサービス支配論理です。
インスタグラムの場合は一枚の写真と短いコメントが全てを語ります。これはラインと同じ発想です。ポストPCコンピューティング時代(スマート革命時代)の表現手段はカジュアル、簡単であり、何時でも何処でも・・・ながら表現ですから。
ラインもインスタグラムもピンテレストもミクシィやフェースブック本体よりも圧倒的な使い勝手=サービス支配論理に視点からポストPCコンピューティング時代=スマート革命時代に相応しいと考えられます。
それにしても新しい個人コンピューティングの形に適応したSNSにおける巣移りの儀式が始まったのでしょうか。巣移りの儀式とは既存のパソコンやガラケー時代の古いSNSから集団でのライン、カカオトーク、DeNAのcommなどへの移行を意味します。
しかし面白い時代になってきました。わくわくします。