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テレビのデジタル化がドライビングフォースとなり、全ての情報メディアが一旦、収縮する時代の羅針盤

香港でも大人気の祝5周年「初音ミク現象」はサービス支配論理、スマート革命が更に促進

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<序文>

 一人一台のパソコンの時代が終焉し、一人が七台のスマート機器を操るスマート革命(ポストPCコンピューティング)時代が到来しています。2012年は初音ミク誕生5周年と言うことで、各地で記念の催しが開催されています。ヤマハの音声合成技術を活用して北海道のクリプトン・ヒューチャーが開発したボーカロイド2に無数の素人クリエーター(一種のプロシューマー=生産消費者)がニコニコ動画上などで創作活動を行った結果です。

初音ミクは10月初め、香港でも公演が行われ、大人気だったようです。

ではこれから「初音ミク現象」はどのように発展するのでしょうか?

Photo

<出所:http://hatsunemiku.blog107.fc2.com/>
 

 

★★「サンクチュアリとしての初音ミク」 ミクと駆け抜けた5年、開発元・クリプトンに聞く

 

★★ 初音ミク五周年記念香港公演 動画あり


★★ フランスで披露されたソニーなどのホログラム、BBC放送 動画です。

AKB48大島優子

<初音ミクはサービス支配論理を先取り>

 iPphoneの登場と同じ2007年頃に始まった初音ミク現象は、現在、スマート革命により進行している「メディアの再発明」と「モノ支配論理からサービス支配論理への移行」を先取りしていました。メディアの再発明とは紙の書籍が電子書籍になったり、テレビの見逃し放送やソーシャルテレビ視聴が普及し、メディアの形が大きく変化することを意味します。初音ミクは人では無く、キャラクターを生み出す機器が歌手の役割をする訳ですから、明らかにスマート革命の元になる「モノのインターネット」に沿った発想です。

また「サービス支配論理」とは音楽や動画、ゲームなどのメディアが紙やCD、DVDなどの「モノ」から分離し、クラウド上のサービスとして複数のスマートデバイス上で何時でも、何処でも提供される新しい個人コンピューティングの形を言います。

 

さてそもそもスターとしての歌手とは一体、何でしょうか。心理学においては「歌手とは歌い手個人の持つ日常生活の顔とは全く別の顔だ。」と考えられています。AKB48の総選挙で1位になったチームKの大島優子さんは、個人としての女の子の顔とスタートしての顔(イメージ)がそれぞれ別にあります。CDや紙の書籍から電子データが別れてサービスとして一人歩きしたように「大島優子さんのスターとしての顔」は、ある意味で私的な個人のあり方に関係なくスターのイメージとして一人歩きをしています。

 

「初音ミク現象」とは、このスタートしての顔を切り出してインターネット上で新たなイメージとしてバーチャルに作り出し、一人歩きさせている状況と考えられます。まさに初音ミクとは「サービス支配論理」が支える現象です。

歌手という「モノ」からイメージを独立させる代わりにバーチャルに(人工的に、スマートに)歌手のイメージを作り上げたと言う訳です。

それを素人のプロシューマー(生産消費者)が皆で作り上げました。これはスマートフォンのネイティブアプリの素人開発者や音楽のインディーズの動きと同じトレンドです。自分たちが楽しめる経験を仲間にも味わってもらいたいと言う発想です。

 

<ホログラムの登場は近い>

 さてソニーが欧州で出している上記のホログラム製品など見ていると初音ミクも本物のホログラムとしてイベントに登場する日も近いと思われます。

今は幕の上に初音ミクの像を映して疑似的な歌手として楽しんでいるイメージです。

初音ミク10周年までには、スマート機器の上にホログラムが登場し、ボーカロイドとしてのイベント登場や本物の歌手との対談目的でのスマートテレビ登場もありえそうです。

 

その頃にはアフラックのダックやローソンのあきこちゃん(既にボカロ化してますが)、NTTドコモのドコモ茸、ソフトバンクの白い犬のカイ君など企業キャラクターも全てアバター化して、初音ミク5周年記念のようなホログラムによる企業イベントで多くのファンを会場に集めて公演を実施しているかもしれません。

 

既にスマートフォン上の拡張現実では登場している訳ですが、スマート機器に初音ミクやアングリバード、企業キャラクターなどが3Dホログラムとして登場するのを期待するのはワクワクしますね。


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