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テレビのデジタル化がドライビングフォースとなり、全ての情報メディアが一旦、収縮する時代の羅針盤

スマート革命の不思議さ、アップル地図の「正直な謝罪」が受け入れられた訳

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<序文>

 アップルの地図問題の広がりを前にアップルCEOのテイム・クック氏が謝罪しています。ところがこれが結構評判であり、iPhone5の売れ行きに地図問題はほとんど影響していません。(ウオールストリート誌のブログallthingsD

米国でのある調査ではアップルストア20店舗の内、iPhone5の在庫があるのはたった四店舗であり、それも数台だったそうです。

 

アップルにとって謝罪は確かに異例の事であり、アップル地図の変わりにグーグルマップなど代替サービスを使うように促しています。

 

では何故あれだけ不評だったアップル地図問題の「正直な謝罪」が受け入れられたのでしょうか。

 

 ★ 迅速な謝罪はクックCEOならでは? 地図アプリ不具合対応にみる「新生Apple

★ Apple’s Map Mess Won’t Slow iPhone Sales

 

<生活者の高次欲求に対応するポストPCコンピューティング時代>

 さてマーケティング3.0の中でフィリップ・コトラーさんは、これからの成熟社会におけるマーケティングは生活者の高次欲求を満たさなければ駄目だと述べ、アブラハム・マズローの欲求階層説を提示しました。生存の欲求や安全の欲求の上にある、所属と愛情の欲求、自尊の欲求、自己実現の欲求、そしてその上に「真、善、美」と言う崇高な欲求が載っており、これを下から段階的に満たす必要があると言う心理学の学説です。ちょっと「真、善、美」を頭の隅において読み進めてください。

 

 さて成熟社会における生活者の高次欲求を満たして成功したのが、有名なフェースブックとアップルだと考えられます。

 

 フェースブックは「いいねボタン」で自分を受け入れて欲しい、認めて欲しいと言う所属と愛情の欲求と自尊の欲求を満たし、投稿により自己表現の機会を提供して大成功しました。それが現在、ポストPCコンピューティングへと移行する中で写真のインスタグラムなどのモバイル時代に相応しい自己表現を採用し始めています。

 

またアップルは社内の大論争を経てアプリ開発をクラウドソーシング(多くはプロシューマー=生産生活者により開発された。)し、第三者の開発者の手に任せた結果、玉石混交のアプリが70万本も開発され、リムやノキアを蹴落としてスマートフォンで大成功しました。これは明らかに生活者や開発者の自己実現欲求を満たしています。またアップルのスマート機器の上に生えたサービスの森は、生活者の様々な自己表現=経験価値を生み出します。

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<出所:allthingsD>
 

<正直な謝罪の意味を正確に理解しているクックCEO>

2010年代はグローバルに見て工業社会から自律型知識社会へ、また日本でも女性の社会進出へと社会の絆が壊れたり、再構築する事が頻繁に求められるポストPCコンピューティング時代にはコトラーさんの言う生活者の高次欲求が非常に重要になります。

 

さて「真、善、美」と言う自己実現の上にある欲求が意味するのは社会貢献であり、社会的課題の解決を提示する姿勢が一種のサービスとして受け入れられると言う意味でもあります。東日本大震災で見られた売り上げ連動型義捐金や企業がボランティア休暇により、救援活動に社員を参加させることに積極的なのも「真、善、美」=社会的課題の解決と言う姿勢です。

 

「真、善、美」=社会的課題の解決への姿勢は製品事故に対する企業姿勢にも現れます。少し前、日本のパナソニックは古い温風器が発火事故のリスクがあると言う「謝罪を兼ねた正直なテレビCM」を大量に流したことがあります。その結果、パナソニックは逆に生活者の信頼を回復しました。絆や縁が繰り返し壊れ、再生が必要な自律型知識社会では、事故発生時「正直さ」が必須条件になります。

 

 今回のクックCEOの対応はパナソニックの当時の経営姿勢と同じと考えられます。だから信頼感が回復したのでしょう。クックCEOは凄い経営者です。また、出来ることならばコボの障害時に楽天さんにも同じ姿勢をとって欲しかったと思います。

 

 

Comment(2)

コメント

すま

アップルの地図に問題があっても困りません。
別の地図を使えばいいだけだからです。
KOBOの問題に代替手段はありません。
謝罪の問題ではないかと思います。

山崎秀夫

すまさまコメント有難うございます。
>KOBOの問題に代替手段はありません。
謝罪の問題ではないかと思います。

  確かにそうですね。

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