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テレビのデジタル化がドライビングフォースとなり、全ての情報メディアが一旦、収縮する時代の羅針盤

5-8年で恐竜フェースブックが消える?スマート革命はフェースブックを潰すのか!!?

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<序文>

一人一台のパソコン+ブラウザー+オープンインターネットの時代から一人が七台のスマート機器を操るスマート革命(ポストPCコンピューティング)の時代へとエコシステム(生態系)が大きく変わる中、フェースブックは後5年―8年で消えても可笑しくないという説も時々聞かれるようになりました。(例えば下記日経新聞930日付け記事参照)

 

その裏にあるのはインターネットのエコシステムの変化(生態系の変化)への対応と言う複雑系の見方です。恐竜が6500万年前に隕石の落下とともに滅びてしまったようなエコシステムの大きな変化が起こり始めていると言う認識です。パソコン時代とスマート革命時代のネットの環境=エコシステムは大きく違うと言う見方が支配的になり始めています。

 

同じことはフェースブックだけでは無く、グーグルやマイクロソフトにも当てはまり、国内のミクシィやヤフージャパンなどにも当てはまります。Web進化論時代の優等生企業達は、スマート革命時代の恐竜型ビジネスモデルなのでしょうか?

 

★★ フェイスブックはバブル アイロンファイア・キャピタル創業者 エリック・ジャクソン氏

★★ Imagine No Ads On Facebook. It’s Easy If You Try

 モバイルインターネットのCPM広告単価はパソコン時代の五分の一

Marymeeker

<出所:ギガオム>
 

 

<広告売り上げの減少が相転移の要因>

ではパソコン+ブラウザー+オープンインターネット時代とスマート機器+アプリ+閉鎖型インターネット時代は、一体、何が異なるのでしょうか。

 

エコシステム(生態系)を議論する時にしばしば用いられるのが「複雑系の理論」です。複雑系にも中国の蝶の羽音がカリブ海でハリケーンを起こすと言ったバタフライ効果(初期値依存効果)など色々あるのですが、ここでは相転移を取り上げます。温度を上げると氷は水となり、更に水蒸気=気体へと変化します。お湯を温めると100度で沸騰して臨界現象が起こり、気体になります。これが相転移です。

 

パソコン・インターネットのエコシステムとスマートデバイス(スマートフォン、タブレット、スマートテレビ、スマートカーなど)のエコシステムとに相転移型の変化をもたらす要因は「広告売り上げの量」と言われています。水を気体にする温度の代わりに広告売り上げを考えれば相転移仮説が当てはまります。

 

 パソコン+ブラウザー+オープンインターネット時代・・・広告売り上げは大きい

 スマートデバイスのエコシステム・・・・画面が小さいため広告売り上げは小さい(五分の一説もある)

 

パソコン+ブラウザー+オープンインターネット時代には、インターネット上では新聞記事やテレビ動画などはフリー=無料だと言う見方がありました。また色々なサービスも無料だと考えられてきました。

しかしそれを裏打ちしていたのはインターネットにマスメディアからシフトする大量の広告売り上げでした。それに支えられてグーグル、ミクシィ、フェースブック、ヤフーなどが情報コンテンツやサービスを無料で提供してきました。

 

しかし画面の小さいスマートデバイスの時代になって広告売り上げが、ぐっと少なくなれば一体、何が起こるでしょうか?既にグーグルの四半期決算ではスマートフォンからのアクセスが急増した結果、クリック単価がどんどん下がりはじめている点を投資家に詰められています。フェースブックも同様です。その結果、グーグルは自社製のタブレットやスマートフォンを本気で販売し始めています。そしてグーグルプレイも充実させました。またフェースブックもCEOのマーク・ザッカーバーグさんは一応否定していますが、独自スマートフォン開発の噂が消えません。そして小売企業の広告主と競合するリスクを犯してまでてまでギフトビジネス=Fコマースに出ました。

 

フェースブックは上場前から見通しの立たないスマートデバイス上での広告売り上げをどうするのかと米国で大きな問題になっていました。その上反応の遅いHTML5のアプリ開発に過去2年間没頭した結果、米国の大学生がスマートデバイスからフェースブックを使わなくなったと言う指摘もあります。(上記日経新聞記事)

この恐竜状況を打破するためフェースブックはスマート機器の一番手でであるアップルと手を結んだと考えられます。同時にHTML5優先の対応を止めてアプリが主、そしてHTML5にも注力すると言った戦略変更をしました。

 

しかし新たなエコシステムの下では全く新たなソーシャルの担い手が現れても可笑しくありません。文字のツイッターを写真のインスタグラムがトラフィック数で抜いたのも理解できるところです。ボタンひとつでアプリを動かすスマート革命の時代には、一枚の写真で自己呈示する方がわざわざ文字を打つより簡単であり、ある意味サービスとして優れている訳です。

 

広告売り上げの減少はインターネットの環境に相転移を引き起こし、スマート機器やアプリで顧客を囲い込む閉鎖型の環境にエコシステムが向かっています。それに呼応して広告の代わりに、サービスの販売(グーグルプレイ)や機器の販売(ネクサス7、サーフェス)、通販(フェースブックのギフト販売)に各社注力し始めました。

 

これは森がサバンナになった時、人類の祖先も木の実から肉食に食生活を変化させ、狩を覚えたのと同じ状況だと考えられます。木の実=広告売り上げが取れなくなったためです。

 

新しいエコシステムの下で新しい個人コンピューティングの形がつむぎ出す新しいビジネスモデルの勝ちパタンに注目しましょう。

 

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