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スマート革命、台湾エイサーの互換性の無い勝手アンドロイド搭載スマートフォン開発行為はアライアンスの規約違反とグーグルが説明

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<序文>

一人一台のパソコン時代が終焉に向かい、一人が七台のスマート機器を操る時代が到来するスマート革命(ポストPCコンピューティング時代)が進行する中、パテント関連の争いも激しさを増しています。先日、台湾エイサーがアリババのアリユンOS(勝手アンドロイド)を使って開発したスマートフォンが記者発表直前にグーグルからの圧力で販売中止に追い込まれました。その件でグーグルのブログにアンドロイド責任者のアンディ・ルビン氏が登場し、エイサーの行為は互換性の無い勝手アンドロイド搭載スマートフォンの開発を禁止すると言うオープン・ハンドセット・アライアンス(アンドロイド開発企業の連合組織)の規約違反だと販売を差し止めた理由を説明しています。

 

やはりアップルとの米国パテント裁判での敗北後、グーグルの締め付けが厳しくなってきたようです。スマート革命の流れはオープンから閉鎖とオープンの微妙なバランス(閉鎖の方向へのシフト)ですから、それに沿っているとも考えられます。

 

本当はグーグルも中国アリババや台湾エーサーの行為に対してパテント違反とか著作権違反と言いたいのでしょうが、なにしろアンドロイドはオープンソースですので言えないところが苦しいですね。しかし良く考えた施策です。

 

 

★★ Google accuses Alibaba of using non-compatible version of Android for its Aliyun OS

 

 

★★Google explains why it stopped Acer's Aliyun smartphone launch (updated)

 

★★ The Benefits & Importance of Compatibility

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<引用元:.itproportal.com>
 

 

<グーグルの上手な説明>

 ブログの中でアンドロイド開発者のアンディ・ルビン氏は「オープン・ハンドセット・アライアンス(アンドロイド開発企業の連合組織)が互換性を守らないと彼らの小さなアプリの開発努力が無駄になり、その為多くの第三者のアプリ開発者がアンドロイドを離れていくだろう。」「彼らを守らなければならない。」とエコシステム重視の姿勢を出しています。

だから「エーサーの行為(互換性の無い勝手アンドロイド搭載スマートフォン開発行為)は容認できない。」と述べています。

これは上手い説明ですね。

一方バージの記事などは「アマゾンがグーグルから警告されない理由は、アマゾンがオープン・ハンドセット・アライアンスの参加企業ではないから出来ない為だ。」と説明されています。またオープン・ハンドセット・アライアンスの参加企業は全く関係ないOSを活用したスマートフォンの開発は許されています。

 

<グーグルと閉鎖型ビジネスモデル>

グーグルはアンドロイドOSをオープン・ハンドセット・アライアンスを通じてオープン提供しています。従ってアマゾンのように参加メンバーでなくても自由に勝手活用できます。しかしグーグルからの障害情報や更新情報の入手、コンサルティングなどの相談にはオープン・ハンドセット・アライアンスの参加企業であることが必須になります。またオープン・ハンドセット・アライアンス85社はグーグルにとって、互換性を利用したグーグルプレイのサービス販売展開やモバイル広告の提供などの利点があります。

その結果、グーグルはオープン・ハンドセット・アライアンスの一部参加企業と更に深い同盟関係に入っていると見られています。例えばグーグルテレビの開発などにおけるパートナー関係がそれにあたります。グーグルと利害を共にする企業は「グーグル社内に机を与えられている」そうです。(これは多くの識者が語る、いわば公然の秘密レベルの言われています。)

グーグルに買収されたモトローラモビリティやサムスン、HTCなど一部の企業はグーグルによるアンドロイド系のスマート機器の販売などグーグルとの利益折半の動きに今後は更に狩り出されるでしょう。こうなればオープンは最早、名目的な話であり、実質的にはアップルに近いビジネスモデルが見えてきます。

 

<勝手アンドロイドメーカーは敵>

グーグルは中国当局との約束でアンドロイドのオープン状況を向こう5年は維持しますが、勝手にソースコードを利用するアマゾンのような勝手アンドロイドメーカーには今後、相当冷たい態度をとると考えられます。少なくとも今回の台湾エーサーの事件に見られたように、オープン・ハンドセット・アライアンスの参加者には互換性の無い勝手アンドロイド(アマゾン型)への開発や生産参加は今後許されません。電子書籍では楽天のコボもバーンズ・エンド・ノーブルのヌックも勝手アンドロイドを使っています。

グーグルと利害を共にするのか、そうではないのか、メーカーにとってオープンなアンドロイドの活用も歴史的な転換点を迎えています。

 

尚、グーグルアンデイ・ルビン氏のブログ投稿を最後に引用します。

 

互換性がお互いのアンドロイドの信頼関係を維持する条件だと述べています。

引用

While Android remains free for anyone to use as they would like, only Android compatible devices benefit from the full Android ecosystem. By joining the Open Handset Alliance, each member contributes to and builds one Android platform -- not a bunch of incompatible versions. We’re grateful to the over 85 Open Handset Alliance members who have helped us build the Android ecosystem and continue to drive innovation at an incredible pace. Thanks to their support the Android ecosystem now has over 500 million Android-compatible devices and counting!

引用終わり

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